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A CAGE ~囚われた4人の少女~  作者: 7%の甘味料
少女たちの罪と鳥籠からの解放
14/28

第12話

今日は2話更新しましょう。

ちなみに完結は20話~30話程度で25話を目処にやっていきたいと思います。


登場人物紹介 


青山 輝樹 平凡な人生を歩んでいた社会人だったが

      痴漢冤罪により人生が崩壊し、少年院の特殊な教育施設の教師になる。


進藤 傑  警察の人間で本人曰く上層部の人間らしい。

      見捨てられたプロジェクトの後片付けとして施設の責任者になったが目的は謎に包まれている。


鮎川 茉莉 施設の生徒、未成年にして国内最強のハッカーにして重度のオタク。

堅剛エリカと仲が良い。


堅剛エリカ 施設の問題児、敵の組のヤクザ20人を殴り殺したヤクザの組長の娘。

      学力が低く単純だが根は優しい、鮎川茉莉と仲が良い。


山本 椎  施設の生徒だが体調不良でほとんど休んでいる。罪状は毒物による大量殺人。


NO.7080  施設の生徒、自分の身元に関する情報を日本人である事と

(ユエ) とある組織にいた番号と愛称の「ユエ」しか分かっていない。

      組織では殺し屋として数百人の人間を殺害したと思われる。

      施設では他人と距離を置いている様子である。


事件・出来事


重罪少年・少女社会復帰プロジェクト


警察の上層部の間で計画されたもので

実験として40人の少年院の中でも重い罪を持つ子供たちを

森の隔離された空間でできるだけ現実の学校に近い様なスタイルで教育すると言った計画である。

しかし後述する事件により計画は凍結。

36人が辞退し、辞退しなかった4人については進藤傑氏が後片付けとして本来の予定通り1年間教育を続けることになった。


無法地帯化事件


最初の頃は真面目にやっていた40人の生徒も。

少年院より規制が厳しくなくなっている事に気づくと一部が調子に乗り始め。

生徒が教師に暴力行為を働き、それを上に報告するはずの警備員を口封じした事により。

事件の長期化と更に悲惨な事態になる事になった。

生徒同士の暴力行為が盛んになり。

喧嘩、虐め、略奪、強姦行為が当たり前の光景となる無法地帯と化した。

これにより34人の生徒が脱臼、骨折、ノイローゼ、性病感染等様々な問題を起こし

大きな問題のなかった6名の生徒の内2人もプロジェクトを辞退。

これにより警察内で上層部の管理能力の甘さと無計画さが露呈する事になるが。

警察は事件を隠蔽し、世間にこの事件が報道されることはなかった。


青山輝樹の痴漢


真宿駅行きの電車において青山輝樹が女子高生に痴漢行為を行った事件。

青山は逮捕され有罪判決を受けたがしかしそれは誤った判決であり

被害者は青山に痴漢の冤罪を掛け、賠償金を支払わせた。

被害者は真宿にある裏社会のグループの一員でグループのメンバーもサクラとして青山が有罪になる様な状況に仕向けた。

裏社会のグループは一連の犯行を依頼されてやったことが判明しており

その依頼者は青山 美代子と彼の同僚の古山と言う男であった。



第12話


それは1年前の話、私が高校1年生の時の事でした。

元々私は昔から料理が好きでした。

そのため私の高校は高校の部活でお料理関連のクラブがなかったので

飲食店のバイトをしたいと思い3件ほど回ってついに飲食店のバイトをする事ができました。

小さなファミレスの支店のバイトです、そこは立地条件が悪くあまりお客さんも来ない所でした。

しかし私は真剣に働こうと決意しそして初めてのバイトの日。

そこには私と同じ様に入ってきたもう一人のバイトの女の子がいて。

そしてその娘は何と同じ高1だったのです。

彼女の名前は好村 香苗。

職場が同じで年が同じと言うこともあり二人が仲良くなるのはさほど時間はかかりませんでした。

そんな中私たちは将来の夢について話題になり語り合いました。

「あたしの夢は何時か自分の店を立ち上げてね!

 その店にはお父さんやお母さん後将来できる私にとって大切なな人やたっくさんのお客さんが集まって

 皆の憩い場にしたいと思ってるんだ!」

彼女は目を輝かせまるで子供の様な目と声色でそう言いました。

そんな彼女を見ているだけで私も幸せな気分になってくるようでした。

「椎の夢は何なの?教えて!教えて!」

困ったことに私には人に夢と言える物がありませんでした。

なので私は自信なくちょっと小さい声で私は香苗みたいにあまり輝いた事は言えないと思いながらこう言いました。

「私の夢は.....香苗みたいに店を構えるとか大きい夢はないけど...

 ただ私は自分の作った料理を食べて、食べた人が喜んで美味しい美味しいって食べてくれる

 香苗が最初に私の料理を食べた時みたいに喜んでくれる顔を沢山見るのが私の夢であり幸せと言うか....

 って...そんなの夢じゃないよね..ごめんね.....」

「何言ってんの!あたしは椎の夢とっても立派だと思う!

 椎の料理なら食べた人を喜ばせる事なんて簡単にできるよ!

 だって椎の料理には愛情が一杯溢れてるもん、あたしが保障する!」

香苗みたいな大きい夢も持ってないけど、香苗は私の事を理解して

私の事を褒めてくれた、そんな事を語りあうと私と香苗は休日に一緒に遊びに行く事も多くなった。

私の勘違いでなければ私と香苗は親友だったと思う。

そんな中香苗から電話でおめでたいニュースがあると言われ。

「じゃーん!私にね彼氏ができちゃった!」

「えっ...ええっ!?お...おめでとう!」

「同じ高校のね、クラスメイトなんだけど今日メールで告白されてね

 私も好きだったからOKしたの」

「そうなんだ良かったね、香苗!」

「うん!」

それからしばらくは度々香苗の口から彼氏との惚気話や

恥ずかしい話だけれどもあれの初体験の話までするようになって.....。

それでも香苗はあの時夢を語った時と同じぐらい毎日幸せそうに見えたので

香苗が幸せだと私も嬉しいと思い私も香苗と相手が上手くいくのを応援していました。

けれどもそれは長く続かない淡い幻のようなものでした。


しばらくすると香苗から元気がなくなっていくことに気づきました。

バイトをしていても今までの香苗だったらあり得ないミスをする事もあって

支店長から珍しく怒られる事もありました。

私が心配になって聞いても彼女は私に話してはくれませんでした。

私が何があったのか気づいたのはもう彼女がおかしくなった後でした。

「香苗!どうしたの.....その傷......」

ふと袖をまくった時に見えた腕の傷。

それは腕に何本もの赤い線が連なり、見ているだけでも痛々しい光景。

所謂リストカットの跡と言うものでした。

「椎...実はね......」

それは聞いているだけで彼女が可愛そうに思える話でした。

最初は上手く行ってた彼氏との仲もある日を境に悪くなり

彼氏は香苗に対して暴力を働くようになったのです。

それでも香苗は彼氏の事が好きだったので彼氏はその気持ちを利用して

ある場所に行ってくれたらもう暴力は振るわないし昔のように優しくすると言い

香苗はその言葉を信じてその場所に行くとその場所にいたのは

彼氏ではなく中年の怖いおじさんが3人いて香苗はおじさんに酷い事をされました。

それでもまだ彼氏の事を信じていた香苗は隙を見て彼氏に電話をしましたが繋がらず

そして香苗がおじさん達にボロ雑巾のようにボロボロにされた後

電話で彼氏の名前を言い、約束どおり銀行の口座に5万円を振り込むと言った時

彼女は自分が裏切られた事に気づいたそうです。

「それでねあいつは....私が昨日恥ずかしい目にあってる写真を

 今度ネットに流してやるって言って私を脅迫してくるの....

 それが受け入れられなくて今日カッターで何回も自分の事切っちゃったし....

 もうあたしは.....おしまいよ....どうせ.....もう」

私は香苗何も気の利いた言葉を掛けてあげる事ができませんでした。

何を言っても気休めにしかならない気がしましたし、頑張れと言うのも無責任な気がしました。

行動で示さなきゃと思ってもどうしたら良いのかわかりませんでした。

何かしなきゃって事は分かっているのに私は何もできませんでした。

もうその時からあの事件が起こるのは決まっていたのかもしれません。


次の日珍しく店は大混雑でした。

修学旅行で来た旧州と言う地方の学校の1クラス全員が一気にここに来たのです。

そして全員でカレーライスを頼んだので店は大忙し。

私も鍋をフル稼働させて料理を作っていました。

私が他のお客様のオーダーを聞くため厨房から離れていた時でした。

香苗がカレーライスに何かを入れているのが見えました。

遠くから見ていて分かりませんでしたが、彼女はそれを入れ終えるとそれをゴミ箱に捨てて急いで別の部屋に移動しました。

私はごみ箱を覗いてみるとそこには茶色い小瓶がありました。

何を入れていたんだろう、もしかして何かの隠し味..でも店長とかに聞かずにそんな事して良いのかな。

昨日の香苗を見て不安になる事はありましたが、しかし後で香苗に聞けば良いやと思いそのまま仕事を続けました。

そして皆にカレーライスを運んでそして全員で頂きますをした後

皆がカレーライスを食べた瞬間...その....あの....ひっく.....。



______________________________________



「もう言わなくて良い.......

 つまり君は酷い目にあった親友を庇ってここに来てしまったんだね」

「はい、小瓶には私の指紋がついていて.....

 カレーを作ったのも私だったのであっと言う間に逮捕されました

 私は.....香苗に何もしてあげられなくて香苗はあの時苦しんでいたのに

 香苗を追い詰める事なんでできなかったんです.....」

その香苗さんは自暴自棄になってあんな事をして自分の人生を終わらせようとしたんだろうな。

椎は椎で親友を売る事もできなくてそのまま警察に捕まったと言うわけか。

「ここに来た後も本当に怖かった...あんな事件もあって....うっ...ひっく..

 ごめんなさいあの事件に関しては思い出したくないです.....」

彼女は今までの話を聞く限り普通の人だこんな少年院の中で暮らすだけでも相当な恐怖とストレスがあったに違いない。

それでも椎は香苗さんの事を今まで警察に話したりしなかったのは本当にすごい事だと僕は思った。

「私ずっと怖かったです、ここで会う人全員が.......

 でも今は茉莉、エリカ、それに先生がいます

 もう怖いのは嫌です.....先生私の事これからも守ってくれますか....

 私が恐怖で押し潰されそうになったら助けてくれますか....」

料理が大好きで、自分の料理を食べてくれる人の笑顔が大好きな椎。

自分は怖がりで小さい人間だと思っているけれど僕はそんな事はないと思う。

純粋に他人の幸せを自分の幸せにできる人は今の世の中にはほとんどいないし

料理がとっても上手だし、それに気弱な様で絶対に人を裏切らないと言う信念も持っている。

でも確かに彼女は皆の言うあの事件にトラウマを残し看護師に辞退の事を言われるまでずっと引きこもってしまう様に

一人で生きていく事は彼女には絶対できないだろう。

だから僕はこう言った。

「怖くなったら何時でも甘えてくれて良いんだよ

 僕に守られたり助けられることで恐怖が消えるならお安い御用さ」

そう言うと彼女の目から再び涙が溢れ、そのまま僕の胸に勢いよく飛び込み。

今まで出したこともないような大きな声で泣き叫んだ。

今まで溜まりに溜まったものを一気に吐き出しているのだろう。

僕は彼女が落ち着くまで背中を撫でてあげた。


そういえば僕は進藤さんの親密と言う言葉で

どれだけ親密になれば良いのか決めかねていたが。

おそらく僕と椎は進藤さんから見ても恐らく親密と言って良いだろう。

そして僕の考え方も今日の事で変わっていた。

椎があれだけ苦しんでいたのなら他の娘も同様に苦しんでいるのかもしれない。

それなら分かってあげたいし助けてあげたい。

それは進藤さんのミッションとは関係なく自分の意思だった。

それにはまだ3人と親密にならなければならない、1人は何時までかかるのかすら分からないけど。

僕はそんな決意を胸にこれからの日々を送っていく事を誓った。


続く

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