(5)
私たちの気持ちが
父に届いたのか 父は
母に一度 会う事を約束してくれた。
「和さんの気性だと…
私が行っても 追い返えされるような…
和さんは?病院で入院されてるのかな?」
「病院は病院なのですが
母の妹の病院なので
母用に改造した所で…
伯母が24時間体制でみてくれてます」
「あぁ…あの…
お母さんが違うって言ってた…
妹さんだね…
和さんが、私と出会った時…
よく言ってたよ…
私は母親のような 不倫とかは嫌だって…
だが、結局…同じようになって…
これも宿命か…とよく言ってたな…」
「何?伯母さんと母ちゃん 腹違いなの?」
優香が驚いた様子で言った。
優香にその話までしていなかった私は
慌てて 優香に言葉をかけた。
「優香…伯母さんの事も 話すべきだった…
ごめんね…」
私は母と伯母の事を全て話した。
「何なの?ウチの家系は…
母ちゃんも…嫌だと思ってたら
何故?同じ事をしたのかな…
本当、理解出来ない…」
優香はため息を吐いた。
「優香…母ちゃん達の生き方は
確かに普通ではないかもしれない…
でも、母ちゃんにしても
婆ちゃんにしても
伯母さんにしても
複雑な家庭の中でも
絆とかは普通より結束してたじゃない…
生き方に正しいとか間違いとか…
な いと思うの…
理解しにくいかもしれないけど……」
「理解は出来ないけど
色々 言っても仕方ないし…
で…母ちゃんの所へは 何時 行ける?
最近の母ちゃんの様子 見ても
どんどん 病気も進行してるみたいで
窶れてきたし…早い方が良いんだけど…」
父に尋ねる優香。
「私はいつでも…何なら今からでも 大丈夫ですよ」
「じゃあ、今から行きましょうよ…
紗香、その方が良いでしょ?」
「そうね…今なら母ちゃんも意識 しっかりしてるし…
いつ…どうなるかわからないし…
じゃあ…
今から…母に会って下さい。」
私は父に頭を下げた。
4人で母の所へ向かった。
途中、父は母の大好きな花 かすみ草の花束を買った。
「和さん、かすみ草の花が大好きで…
素朴だけど 人から愛されて
自分もそんな人間になりたいって…
良く話してたんですよ」
母の知らない一面も父に聞かされ
父との再会で 母が少しでも
生きる希望が沸いてくれたらと思っていた。




