(3)
翌日 優香へも連絡して
私たちは待ち合わせ場所へ向かった。
「何か…緊張してきた…優香 大丈夫?」
「私は全然…」
双子でも こんなに性格が違うのかと
思うほど 優香は 本当に緊張してる様子もなく
逆に堂々としていて 頼もしく思えた。
料亭のような感じの店で
個室の座敷へ通された。
既に駿は先に到着していた。
「駿…まだ?来てないの?」
駿は腕時計をチラッと見た。
「まだ…10分前だから…
そろそろ来るんじゃないかな?」
三人 全く会話もせず
シーンと静まりかえった部屋だった。
「どうぞ…」
店員が扉を開けると
男性が立っていた。
白髪のダンディの容姿。
私たちは会釈をした。
「すいません、お待たせして…
北川さん…こちらの女性は…??」
「あっ、その昨日 お話をしようか 迷ったのですが…
もし…話しをして 来て頂けなかったらと思って…
こちらの二人は…
後藤和代さんの…
いえ…長岡哲郎さん…
あなたの子供…
双子のお嬢さんです」
父は驚いて言葉も出なく ただ茫然と立っていた。
「駿、いきなりすぎるよ…」
「あっ、すいません…
どうぞ…座って下さい…」
父は静かに座り
まだ動揺してる様子だった。
「長岡さ ん、突然…すいません…
後藤和代さんの事、知ってますよね?」
「あっ…あぁ…
えっ?あの時の…双子の子が………
どうして?私の事を?
お母さんから聞いたのかな?」
「いえ、母からは何も聞いてません…
伯母から…聞いて…」
「お母さんの若い頃にそっくりだ………
お母さんは元気にされてるのかな?」
「……………」
すると 優香が険しい表情で父に尋ねた。
「長岡さん、あなたはどうして
妻子持ちなのに 母と付き合ったんですか?
母とは遊びだったんですか?」
「優香………」
父は困惑した様子で
私達を見つめていた。




