過去(1)
母が何故 そんな言い方をするのか
それは今から
16年前の過去の出来事にあった。
◆16年前 2月
「紗香、あんた最近 太った?」
「ウン…何か太ったみたい…お腹も出てきて
るし…ヤダなぁ
ダイエットしなきゃ」
そう言うと 母は
私のお腹に触れた。
母は驚いた表情で
私の服を脱がせた。
「母ちゃん、ヤダっ何するの…」
「紗香っ…あんた生理最近 いつあった?」
「生理…?いつだっけ??何で?」
「紗香っ!あんた…駿とまさか…エッチしてないだろうね?」
駿…北川 駿は同級生で 私も駿も幼なじみで中2になって 駿に告白され付き合い始めた。
家にも何度か遊びに来ていたので 母も
駿の存在は知っていた。
「エッチ………
あっ………あの…
えっと…その…昨年の夏頃………
あっ!でも痛くて…
1度だけ…それからはしてない…
本当に…嘘じゃないから…」
必死で言う私に
母親は 慌てた様子で
「このまま 待ってるんだよ…すぐ戻るから!」
そう言うと 母親は
家を出て行った。
しばらくすると
息をきらし
戻ってきた。
小さな紙袋から
小さな箱を取りだし 中を開けた。
「今からトイレに行って この場所にオシッコをかけな さい!
かけたら キャップをして 母ちゃんの所へ持ってきて!」
私は 不思議そうに
首を傾け 頷いた。
「母ちゃん、これ…」
母親は棒のような物を真剣な顔で見つめていた。
「あっ…やっぱり…
陽性…………
紗香っ!あんた…妊娠してるじゃないっ!」
「えっ…?」
「困ったね…エッチは本当に1回?
日にちとか 覚えてないの?
相手は駿だよね…」
「ウン…」
私は 母の言ってる意味があまり理解出来ず きょとんとしていた。
「とにかく、この事は誰にも言ったらダメだからね!
当分 外出禁止!
優香にも 話したりしちゃダメだよ」




