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(4)



「癌?」



「だから…説得とか…



桜子の事で 心配かけたくないの…



今は…少しでも



1日でも 永く生きてもらいたい…



駿…ごめんなさい」



「けど…こんな言い方…したら



何て言うか…



死を 認める言い方になるかもしれないけど、



もし、もし…



万が一 紗香のお母さんが亡くなった後…



桜子はどうなるんだ?



何も知らないで



母親と思ってる人の死って



それも ショックじゃないか?」



駿に言われ 私は



母の死や その後の事など



全く 考えてなかった事に気付いた。



「死ぬ事なんて、考えたくもないだろうけど…



でも、桜子の為には その現実とも



向き合わなければ



いけないんじゃないかな?



一度…体調の良さそうな時に



俺と会わせてもらえないか…」




どうしたら良いか



わからなかった。



今 駿と会わせて



母に 心配や不安を与えるのも



どうかと考える半面



駿の言う通り



母に万が一の事があった時



桜子の事を考えると



母にもう一度…



桜子の事を話し合った方が良いのか…



考えても 直ぐに結論が出なかった。



「もう少し…考えさせて…



駿の言う通り…



万が一の事…



それも踏まえて



ちゃんと考えてみる…」



「分かった…紗香…



俺は…前向 きな考えで



全部 受け止めたいと思ってるから…



昔のような 金持ちでもなく



ただのサラリーマンな俺だけど



紗香を想う気持ちは



あの頃より…



あの時を遥かに超えるぐらい想ってる



だから…俺を信じて



前向きな気持ちで



紗香も考えてほしい」



駿の熱い想いは



私の心にも響いていた。



嬉しさと 戸惑う気持ちで 涙が頬を伝った。



駿が近付き 涙を拭い



私を優しく抱き締め



唇を合わした。



学生の時の 駿との



ファーストキスとは違った 大人のキスに



心が熱く 胸が張り裂けるような



ドキドキとした鼓動を



必死で落ち着かせようとしていた。






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