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真実(1)


薬が効き出したのか



母も落ち着き眠りについていた。



「伯母さん…見てるのが辛い…



あんなに苦しんでる母ちゃん…



もっと ラクになれないのかな…」



「紗ちゃん…この、今 打ってる痛み止めも



そのうち 効き目無くなるの…



どんどん キツイ薬を打つようになるから



体力も消耗するし…



本人が一番 苦しく辛いだろうけど



家族も 本当に辛いって



患者さんの家族もそう言ってた…



紗ちゃんも 辛いだろうけど



和さんも闘ってるから…



頑張ろう…」



伯母の言葉に頷き



母の寝顔を見た。



(母ちゃん…辛いけど…一緒に頑張ろう…



母ちゃん…死なないでね…)



伯母の所だから



面会時間など制限もなかったので



桜子がバイトの日は



遅くまで 母の元に居た。



数日が経った。



梅雨に入り



ジメジメとむし暑い日だった。



母に会いに行って



帰る途中



雷も鳴り 大雨になった。



(天気予報…



雨マークになってなかったのに…)



突然の雨で 傘を持ってなかった私は



駅前で雨宿りをしていた。



「紗香っ…」



背後から声をかけられ、振り返ると



駿が立っていた。



「駿…………」



「紗香…良かった…会えて…話があるんだ」


「………………」



「紗香…俺、聞いたんだ…



昨日…偶然、バッタリ裕太と会って…



紗香…俺の子…産んだって………」



「えっ…………」



突然、駿の口から過去の話をされ



私は驚きその場から 立ち去った。



(何で?何で?駿に………)



「紗香っ!」



駿に腕を掴まれた。



大雨の中 路上で



びしょ濡れになりながら



駿は私を離さなかった。



「ちゃんと、話が聞きたい…



紗香の口から…



裕太が言ってた事は本当の事か?」



私は必死で首を横に振った。



雷と雨の音で 駿の叫んでる声が



遠くに感じていた。



(言えない…本当の事なんて言えない…)



雨が涙を洗い流すように



溢れる涙と雨が入り交じっていた。


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