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数日が過ぎ 私は慎太郎から 呼び出された。
「いきなり、悪かったな…
元気にしてるか?」
「ハイ………」
「前に…北川さんって人が
店に訪ねてきて…
その、お前の浮気相手と思って
少し話をしたよ…同級生だったらしいな…
中学以来に会ったと言ってたけど…」
「ハイ…」
「誤解してたようで…悪かったと思って…
後、俺の方も…紗香を傷つけてしまって…
あれから、実は…病院で 診てもらったんだ…
俺、無精子症と診断されたよ…
紗香に原因なかった…
俺に原因があったと解って…」
慎太郎が 病院で
診てもらった事にも驚いたが
無精子症と診断された事にも
驚き言葉にならなかった。
「こんな事…今さら身勝手だと思うが…
紗香…もう一度、やり直せないか?
オフクロには…俺が全て話す…
全て、俺に原因があった事 話すから…
離れて、初めて 紗香の存在に気付いたんだ…
本当にすまなかった………」
慎太郎は 人目も気にせず 私に頭を下げた。
「慎太郎さん、頭を上げて下さい…」
「戻ってきてもらいたい…
ただ…子供は…
授からないが…
子供なんて 居なくてもいい!
紗香さえ居てくれたら………
紗香、頼む…もう一度やり直して欲しい」
突然の 慎太郎の言葉に驚いたが 私は
慎太郎への愛が 本当の愛ではなかった事を
桜子に 教えられたようで
慎太郎に頭を下げられても
戻る気持ちが全くなかった。
「慎太郎さん…ごめんなさい…
慎太郎さんの気持ちは有り難いのですが…
私…戻りません。
慎太郎さんが 悪いとかじゃなく
私自身…結婚という事を
簡単に 考えてたみたいで…
本当にごめんなさい」
慎太郎は苦笑いしながら
「そう…言われる事は覚悟してたよ…
1%未満の望みにかけてみたけど…
そうだよな…
分かった…
その覚悟もあったから
これ………」




