(3)
駿が追いかけてくるようで
後ろを振り返ったが
追いかけて来る気配はなかった。
(ドラマじゃあるまいし…
そこまではないよね…
駿を傷つけてしまったかも…
あんなに想ってくれてるのに
ただ、会う事も拒んで…
でも、きっと…
これで良いんだよね…)
私は涙を拭い 家へ戻った。
「ただいま…ごめんね…
直ぐ ご飯 作るから………」
「さっきの人…誰?」
「あぁ…あの、同級生…」
「同級生?何しに来たの?」
「えっ?あぁ~何か同窓会の事…」
「あれっ?紗姉…泣いた?
もしかして…何か怪しい~関係?」
「何?泣いてなんかないよ…
もう、そんな事 いいから
手伝ってちょうだい…」
桜子に怪しまれ 動揺していた。
ご飯中も 色々と聞かれ
私はごまかすのに必死だった。
「大人って 色々あるんだね…
結婚って 大変なのかな?
人を好きになっても
生涯 ずっと一緒って難しいのかな?」
桜子の言葉に 私は応える事が出来なかった。
好きな気持ちだけでは
どうする事も出来ない…
何が大切か…
そう…愛よりも私は
家族を選択した…
家族が傷つかないように…
そして…
駿を困らせないように…
母も愛よりも 私達を選んでくれた
私も同 じように…
「桜子…後悔しないような 恋をしなさい
結婚が大変とかの前に
本当に好きな人と出会って
本当に好きな人と結婚したら
どんな大変な事も
乗り越えると思うから…」
「じゃあ、紗姉は…
本当に好きな人と結婚した訳じゃないんだ…
本当に好きな人だったら
乗り越えてたって事?」
桜子の言葉に私はハッと気付いた。
(そうなのかもしれない…
私は、慎太郎さんの事を本当に
好きではなかったのかも…)
「どうなんだろう?
やっぱり…
大人には色々あって 大変なのかも…
何か、アドバイスしてるつもりが
逆に 桜子に アドバイスされたみたい…」
桜子とプッと笑いながら 食事を済ませた。




