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(3)


「それより、母ちゃんがね…



ここを退院して 弘美伯母さんの所で



療養するって言ってるの…」



「弘美伯母さんの所で?」



「弘美伯母さん所は



産婦人科と内科でしょ…外科ではないし…



それだけの設備も整ってないから



私は反対してるんだけど…」



「抗がん剤治療とかするつもりないから…



そんな苦しい思いしてまで



延命したくないし…



どうせ死ぬなら



弘美の側で…って



まぁ母ちゃんが勝手に



思い込んでるだけで



弘美が受け入れてくれるか



わからないけど…」



母の気持ちは理解出来たが



1日でも永く生きてほしい気持ちとが重なりあって



返答が出来なかった。



「とにかく…弘美伯母さんには 連絡したから



近々…病院へ来るって言ってたし…



弘美伯母さんが どう言うか…それからだね」




結局、その日 私は


桜子もバイトだったので



面会時間 ギリギリまで 母に付き添った。


痛みのない時は 普通に話せるのが


痛み止めがきれると


本当にこのまま 死んでしまうのではと



思うぐらい苦しんでる様子を



目の当たりにして



母の死が 確実に近づいてると




改めて実感した。



足取り重く 家へ戻った。



1人では 食欲もなく



コーヒーだけを飲んで



桜子の帰りを待っていたが


バイトが 終わって


帰ってくる時間を過ぎても


桜子は帰宅しなかった。



私は桜子の携帯に電話をかけたが



繋がらず メールを送った。


しばらくすると 桜子からメールが届いた。



{遅くなってゴメンネ心配しないで…


彼とちょっと話してるだけ…


もう少ししたら帰るから…}



(桜子ったら…母ちゃんの



病状も知らないから 好き放題して…)


桜子への苛立ちもあったが



何も知らないだけに



桜子を責めるのも どうかと悩んでいた。



(やっぱり、母親って大変だな…



色んな事に目配りしなきゃならないし…



母ちゃんの大変さが 良く分かるなぁ…)


結局、桜子が帰宅したのは



日にちが変わる数分前だった。


「桜子…説教したくないけど 女の子だし…



高校生なんだから



こんな時間まではダメだよ…


母ちゃん 居ない時に何かあっても困るし…」


「ゴメンネ…気をつけるから…」


そう言いながら二階へ桜子は上がった。





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