(6)
しばらくすると
二階から パジャマ姿の桜子が下りてきた。
「あっ!紗姉っ…いつ来たの?ビックリぃ~」
年末年始も店が忙しく
お正月も帰ってなかったので
久しぶりに会う桜子を見て
高1とは思えないぐらい大人びた姿を見て
ただ、ただ驚いていた。
「おはよう…さっき…来たばかり…桜子…
高校はどう?
何かちょっと 見ない間に 大人っぽくなったわね…」
「そっかな…高校?ダルい…」
そう言いながら 舌をペロッと出して笑った。
「何がダルいだよ…
まぁ、でも…桜子は
優秀なんだよ…
成績は学年 トップ…で…
母ちゃんも自慢だよ…」
そう言いながら 桜子を見つめる母親に
私は何故か 嫉妬のような感情が沸々と
込み上げていた。
「母ちゃん、鳶が鷹を生む…そんな感じ? 」
そう言いながら大笑いしてると
母親は拳で桜子へパンチするような仕草をした。
(どうして…こんなに胸が痛いんだろう…
何で…こんなに苦しいんだろう…)
私は二人の仲の良い様子に心が締め付けられる思いだった。
母親は 桜子に支度するように言い
思い出したかのように
私に尋ねてきた。
「あっ!それより…どうしたんだい?
あんた が帰ってくるって…
相当な理由だよね?」
私は重い口を開き
母親に話し始めた。
母親は、また煙草に火を点け
険しい表情で話し出した。
「慎太郎や慎太郎のお義母さんの 言うように…あんたが先に検査してみたら?」
私は母の言葉に耳を疑った。
「えっ?母ちゃん…
私が…先に検査?
母ちゃん…
私に原因ある訳ないじゃない!
私は…だって…」
私は興奮気味に言葉を発すると 母親は
桜子を気にかけるような感じで
私に小声で言った。
「紗香、ちょっと落ち着きなさい…
桜子が学校 行ってから
この話はしよう…
あんたも疲れてるんだよ…
少し 休んでもいいよ…」




