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(2)


その事がきっかけで



桜子との 距離感が縮まったようで



母と名乗れなくても



十分 幸せを感じでいた。



翌朝 桜子のお弁当作りも



心が弾むような感じで作っていた。




(母ちゃんが入院して癌と闘ってるのに…



母ちゃん、ゴメンネ…



少しの間…母親の真似させて…今だけ…)



「桜子~っ、お弁当 出来たわよ…」



私が大声で呼ぶと



二階から 桜子が下りてきた。



「わぁ~美味しそう」



「こんな感じで良かった?」



「えっ?何で?全然 良いよ…」



「良かったぁ 母ちゃんが 前に、



桜子はちょっと 変わったら



お弁当 残してくるって言ってたから…」



「???母ちゃんが???…



意味 わかんない…



そんな事ないけど…



紗姉、ありがと…今日はバイトだから



夕飯要らないから…



母ちゃんの所…紗姉 行くんでしょ?


これ…母ちゃんに渡して…」



「何?これ?」



「手紙…メール 送っても良かったんだけど…



病院だから 携帯とか 見れなかったら…



母ちゃん 早く治るようにって



ちょっと気持ちを書いただけ」



「桜子………」



やはり桜子には母が必要なんだと



この時改めて感じた。



「じゃあ…渡しておくね」



母のような真似事をしても



真似は真似…



本当の母親にはなれない、



そんな寂しさも あったが



桜子と二人だけの生活なんて



今までになかった事だから



この一時を



大切に過ごそうと



そう思っていた。



桜子を見送り 家事を済ませ



病院へ向かった。



優香が先に来ていた。



「桜子 大丈夫だった?」



「あっ…母ちゃん、これ桜子から…



桜子、元気に学校 行ったよ」



「そうじゃなくて、親子水入らずじゃない…



このまま暴露ってのも 有りじゃない?」



優香の言葉に母の顔色が変わった。



「優香ったら…



そんな言い方したら



母ちゃん心配になるじゃない…



私は母ちゃんのようにはなれない…



現にこうして、



桜子も母ちゃんを心配して手紙書いたり…



母ちゃん、心配する事ないよ…」



母はニッコリ頷いた。




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