余命(1)
その日は 結局 深夜まで話をしたが
母や桜子の事を
どうしたら良いか
考えたが
何も 浮かばなかった。
私は その夜も中々
眠れず
自分の気持ちを確かめるように
考えていた。
優柔不断だが
優香の言ってくれた事も 共感したり
だが、もし真実を話す事で
全ての関係が壊れる事も
母と同じような気持ちで
恐れてる自分がいた。
明け方 電話が鳴っていた。
優香達は 電話の音に気付いてない様子で
私は 静かに受話器を取った。
『モシモシ…』
「あっ!優姉?」
慌てた様子の桜子からの電話だった。
『優香じゃないけど…
桜子…どうしたの?』
「あっ…紗姉…母ちゃんが、
母ちゃんが 胸が苦しいって…
どうしよう?」
『救急車 呼びなさい! 落ち着いて…
携帯 持ってくのよ
優香 起こすから また連絡するから
とにかく 救急車 呼びなさい!』
「ウン…分かった」
私は慌てて 優香の寝室をノックした。
「優香、優香っ…起きて…母ちゃんが…」
優香は目を擦りながらドアを開けた。
「何?」
「桜子から電話かかってきて…
何か 母ちゃんが胸が苦しいって…
救急車 呼ぶように言ったけど
優香 支度して…車…出して…」
「胸が苦しいって…
自分の 行いに悩んでるんじゃないの?」
「そんな感じじゃなさそうだし…
桜子も気が動転してるみたいだし…
早く…桜子に 電話してみるから…」
私も 着替え 桜子へ電話をした。
『桜子…救急車 呼んだ?』
「ウン…今、救急車の中…
中央病院に向かってる…
お姉ちゃん…来てくれる?」
『すぐ行くから…
母ちゃん…お願いね』
優香は仕方ないような雰囲気で
車を出した。
「罰が当たったのよ…
本当に こんな朝方から
母ちゃん どこまで困らせるのかな」
優香は車の中でも
母に対して愚痴っていた。




