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だが、優香の気持ちは本当に 嬉しいと言う感情だけで
どんなに 言われても
桜子や母の事を思うと
自分の気持ちを優先にする事など
出来ないと思っていた。
「優香…ありがとう
優香がそんな風に思ってくれてたなんて…
でも、もういいの
過去を振り返らない事に決めたから…
また、新たに 頑張って
今度こそ…幸せになるから」
「紗香…
駿の事…好きじゃないの?
もう、慎太郎さんと離婚したら
紗香…あなたは自由なんだよ…
誰に遠慮しなくても
構わないんだよ…」
優香の言葉に
私の心が乱れていくような感情を
抑えようと必死だった。
「好きとか…
そんな気持ち…
とにかく…
もう、駿の事はいいの
母ちゃん…から話
聞いてない?
母ちゃんが どんな思いで
桜子を育ててきたか…
それに桜子だって
母ちゃんの事…
実の母と思ってるし…
もう…だからいいの」
私はその後 優香に母が どんな気持ちで
今、桜子を育ててるか話した。
優香はそれでも 納得いかない様子だった。
「母ちゃんの事なら
私が説得するよ…
桜子の事だって…
同じ屋根の下で 生活してるのに…
紗香……辛いでしょ…
母と名乗れないなんて…
私も 子を持つ母親として…
子供への愛情…
お腹を痛めて産んだ訳じゃない…
だから…凄く 自分の事のように
今、紗香の事 思うと
何とかしてあげたいの………」
「優香………」
優香の言葉が また過去を思い返していた。
桜子を産んだ時の
あの時の様子が
私が過去を振り向かないと
決めた気持ちとぶつかり合うように
私の心を惑わし始めた。
優香にマインドコントロール
されてるようで
固まった気持ちが崩れていくような
感じになっていた。




