(2)
私は母の言葉に
また母に何とも言えない感情
苛立ちのようなものが
沸々と込み上げてきた。
(桜子、桜子って…
桜子に父親が居ない子供にさせたのも
桜子を自分の子供として 引き取ったのも
母ちゃんが 自分で勝手に決めた事じゃない!
私の意志でも 駿の意志でもないのに…
親達が 勝手に決めた結果じゃない…
あの時…もし、駿に話していたら
もしかしたら…
桜子のパパとママに
なれてたかもしれないのに………
みんな勝手なんだから………
桜子だけじゃない、
私だって…
私だって…
どんな思いで
今まで…………)
私は心の中で叫んだ。
何故?面と向かって
母に言わなかったのか?
多分…心でそう思いながらも
母も 一生懸命 桜子を育ててくれた事
そして、本当に桜子の事…を思い
今 母に対して
過去の話に反発しても
もう過ぎ去ってしまった事
どうにもならない現実が
分かっていたからか
母に直接 言う事が出来ずにいた。
(そう…どう思っても………今さら…
どうする事も出来ない…
母ちゃんの言う通り
もう 駿と会わない方がいいのかも…)
「あんたに…
キツイ言い方しちゃったけど、
母ちゃんの本音は…
母ちゃん …恐いのかも…」
母のしんみりした言い方。
「恐い?何が?」
「前にも言っただろ…
桜子が母ちゃんの生き甲斐って…
桜子が…もし、本当の事を知って…
母ちゃんから離れたりされるのが…
正直、恐い…
あの子が居るから
今、母ちゃんも頑張ってられるし…
あんたや優香も実の子なのに…変だよね……
ただ、何て言うのか…
桜子が実の子じゃないから
逆に 実の子にする為に
必死だったからかな……
だから…桜子を返してとか
母ちゃんの子じゃないと
言われる事が 一番 恐いんだよ…」
「母ちゃん………」




