(4)
「慎太郎と何かあったんだね?」
私はチラッと桜子の方を見た。
母は桜子が居ると
私が話しにくいと察し
桜子を二階へ行くように言った。
「何で?別に紗姉と兄さんの事なら…
話し聞いても…
そんな子供扱いしなくても…………」
「何、言ってるの!まだまだ子供じゃない…
試験前なんだし…
勉強してきなさい…」
桜子は ブチブチ言いながら
二階へ上がった。
「何があったの?」
母は私に尋ねた。
私は目の当たりした事 全てを母に話した。
「それは酷い!母ちゃん、
慎太郎に話してあげるよ…」
「もう…話をしても無理…
私…あの家には帰りたくない…」
「離婚にしても…
話し合いはしなければいけないだろ…
そんな浮気してるんだし
慰謝料も貰わなきゃ…」
「何もいらない…
とにかく…
もう、慎太郎さんとの生活はしたくない…」
母は私の肩を擦り
「そうだね…
今まで、あんたなりに頑張ってたんだから…
もう、辛抱する事ないよ…」
母の言葉に泣きながら頷いた。
母は慎太郎と連絡を取り
後日 両家で会う約束をしていた。
私は話し合いがスムーズに進み
離婚は決定的だと思い
新たな生活を前向きに
考えるようにしていた。
数日後 私は母と慎太郎の実家 へ向かった。
慎太郎の義母は
鬼のような怖い顔で私達を出迎えた。
慎太郎も険しい表情で 座っていた。
慎太郎の隣に
妹の佐和が座っていた。
重い空気の中
母が話を切り出した。
私が目の当たりした
あの日の事から始まり
今までの事を母が私に代わり 話すと
慎太郎は呆れた顔で
私達に向かって話だした。
「俺の非ばっかり言われてますが…
紗香だって…
子供が出来ないからか…
男と隠れて会ってるじゃないですか…」
私も母も顔を見合せた。
「佐和が…あの日の朝、
紗香と男が会ってたのを目撃したんですよ…
なぁ、佐和…
見たんだろう…
凄く親しそうな雰囲気だったんだろ?」




