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(3)


伯母が力むように言うが



痛くて力が入らない私。



「ほらっ…赤ちゃんも頑張ってるよ…



ハイ、力 入れて…」



私は無我夢中で全身の力を振り絞った。




その瞬間 大きな泣き声が




私の耳にも入ってきた。




(産まれた…)



「頑張った、頑張った…紗香…頑張ったね」



母の目に涙が光っていた。



「今日はゆっくり休んだらいいよ…」



「母ちゃん…赤ちゃんは………」



母は困った様子で



「産んだのは紗香あなただけど



今 見たら 母性本能が出て



離したくなくなるでしょ…



お乳も あなたは出る間 搾って



搾ったのを赤ちゃんに飲ますから…



お乳 あげなかったら直ぐに止まるし…



とにかく…あの子はあなたの妹…



これからは妹だからね」



母の言葉に涙を流した。



(こんなに痛い思いしたのに…



こんなに苦しい思いしたのに



今…産まれたばかりの



私の赤ちゃん…



見れないなんて…



赤ちゃんも駿も…



離れ離れ…)



切ない思いのまま



疲れたのか眠ってしまっていた。



翌朝 夢のような感覚で目が覚めた。



だが夢ではない。



明らかに お乳が張ってる感じで



触ると生温かいものが




流れていた。




伯母が様子を見に来た。



「お乳…搾ろうか…



張って痛いでしょ ...




これを使って……




こうやって搾るの…」




「スゴーイ…こんなにたくさん…」



「このお乳を冷凍保存するのよ



赤ちゃんも母乳で



育った事になるからね…



紗ちゃんのお乳が止まるまで



保存してあげようね」



私はコクリと頷いた。



まだ早朝で



母も眠ってる様子だったので



私は伯母に お願いして


赤ちゃんを



一目 見せて欲しいと頼んだ。



「和さんと約束したんだけど…



少しの間はダメって



言われて…



でも、紗ちゃんも…



赤ちゃん見たいよね…



分かった。



少しだけよ



側で見るだけなら…



ちょっと待ってて…



連れてくるね。」



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