(6)
伯母の所へ来て
数日が経っていた。
窓からの風景。
学生達の登校姿…
心が痛む思いだった。
(駿…もう転校したのかな…
駿…駿に何にも言えないまま
もう会えないなんて
駿…駿は どんな風に話しを聞いたの?
駿は平気なの…?
駿…………
忘れる事なんて
出来ない…
駿は忘れちゃうの?)
涙がまた頬を伝った。
毎日、こんな思いをしながら
昼間は伯母が用意した参考書で勉強をしていた。
周りにバレてはいけないという事で
監禁されてるような
隔離されてるように
外へ出る事は禁止されていた。
妊娠は病気ではないと教えられ
階段を使って、上がったり下がったりしながら
運動をさせられていた。
母も2日に1回
私の様子を見に来ていた。
「母ちゃん…
駿…もう転校したの?」
「さぁ?どうだろうね…?
母ちゃんにはわかんないよ…
って言うか まだ駿の事 思ってるの?
忘れなさいって言っただろ…」
「母ちゃん…手紙とかでもダメなの?」
母はため息をつきながら
「往生際の悪い子だね…
ダメに決まってるでしょ!
紗香…駿の事が本当に好きなら
駿を困らせるような事や
駿の人生を狂わすような事にな らない為にも
もう、連絡 取っちゃダメなんだよ!
わかるでしょ…?」
泣きながら頷く私。
「ほら…泣かないの…
泣いてばかりいると
赤ちゃんも ずっと泣き虫な赤ちゃんになるんだよ…
赤ちゃんは…お母さんの声も心の中も
全て わかるんだよ…
あんたはママにはならないけど
今、お腹にいる間は
あんたをママと思って
赤ちゃんもお腹の中で育ってるんだから
だから…泣いてばかりじゃなく
赤ちゃんの為にも笑って…」
母の言葉に 私が頷くと
お腹がポコッと動いた。




