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母は私を残し、駿の両親に話しをする為に駿の家へ向かった。
駿抜きで話し合いが行われた。
駿の両親は突然の衝撃的な出来事に
ただ、ただ驚き
会社経営をしてる父親は
駿の将来の事もあるので
内密にして欲しいと母親に頭を下げた。
結局、母親は自らの子として 育てて行く事を説明し
駿は4月から 遠く離れた場所へ転校させ、
今後一切 紗香とは連絡を取らない事を約束し手切れ金を母親に渡した。
両親がそのような話し合いになってるとは 全く知らない私は
出産したら また駿に会えると軽く考えていた
翌日 母は寝てないのか
真っ赤に充血した目で
伯母の所へ来た。
駿との両親の話し合いの内容を聞き
私は泣きながら訴えた。
「何で?何で…駿が転校しなきゃならないの?
私と何で二度と会えないようにしたの?
母ちゃん達、酷いっ!
私は今も駿の事 好きだし…
会いたい!
駿に会いたい!
駿に会いに行くっ!」
「紗香っ!いい加減にしなさいっ!
あんた…あんた達は大変な事をしたんだよ…
赤ちゃんだって
あんた達が パパママとして産まれてこれたら
どんなに嬉しいか…
赤ちゃんだけ辛い思いさせて
あんた達は普通に
今 まで通りはおかしいだろっ!
駿にも将来があるって言われたし…
恋はまた…時が経てば出来るよ…
駿の事は忘れて
出産までは あんたも苦しいだろうけど
出産したら
あんたも将来の為に
また普通の学生に戻って
学業や恋をしたらいいよ…
とにかく…そう決まったから!」
私は言葉も出せず
泣きじゃくった。
生まれてくる赤ちゃんに 私達がパパ ママとなれない事が
どれだけ可哀想な事なのか
母の言葉で理解しながら
駿との別れの悲しさも入り交じり
涙が止まらなかった。
学校へは 伯母が言ってたように
病気療養の為 休学届けを出したと母から聞き
双子の姉 優香にも
私は病気で
弘美おばさんの所で療養してる事になっていた。




