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我等の電波少年  作者: 若草ツムジ
experiment:1
2/2

01 ハジマリ


西暦xx年―

人類の科学は(とど)まる事を知らず、著しく発展を遂げた。

日本も、小さいながらも"空中都市"などという異名を持ち、

その名の通り、(そら)にまで行動範囲を広げた。

重力なんてまるで無視するかのように浮かぶ車やビル、マンション――


人々は膨大な科学の力を使い、自らの発展の為に地球を犠牲にすることを選んだ。





なんて事はおそらく、遠い遠い未来の話。

汚く殴り書かれた文字がぎっしりと詰まったそのノートには、幼かった俺の精一杯の夢が込められていた。

表紙には比較的、丁寧なゴシック体で"ミライノート"とレタリングされており、右下には

小さく"サガラ"と、擦れた自分の名前が並べられていた。

よくある未来を予知した小学生の遊びだったが、当時の俺にはひっそりと自身の空想を文字にする事で

何か達成感のようなものを感じていたみたいだ。


指先で空白の(ページ)をなぞり、そっと目の前のダンボール箱に詰めた。


新学期を向かえ、友人に身辺整理を促されたものの、こうも懐かしい物が出てきては

部屋どころか頭の中まで片付きやしない。

ダンボールを無造作に部屋の隅に追いやると、そこそこ綺麗になった机を背に

自室を後にした。


新学期登校初日。

そこまで大イベントって事もないが、それなりにパリッと整った制服に身を包み、家を出る。

体育祭だの音楽会だの、これから起こる面倒くさい行事に目を瞑りながら

(せわ)しく歩みを進めている社会人や、同じ学生にシンパシーを感じる。

とは言っても、今日は早めに家を出たつもりで時間には余裕がある。

このまま行けば、あと20分ほどで学校に着くだろう。


そんな事を暖かい日差しの中、うつらうつらと考えていると身体中に、

強い衝撃と鈍い痛みが駆け巡った。


「…っ?」

眼の前が真っ白になり何が起こったかよくわからない。

何かが地面を勢いよく滑るような摩擦音が聞こえ、その後、派手な金属音が耳を劈いた。


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