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短いですね。続けるか謎です。
ゴールドゴブリン。単体での討伐ランクはDと低めに設定されている魔物である。下級魔法に耐性を持っていたり、武器を扱う知能を持っているものの、熟練した冒険者にとっては脅威とはなりえない存在であり、個体数は他のゴブリン種に比べると極端に少ないため、滅多に遭遇することはない珍しい魔物でもある。
これだけ聞くとそれほど厄介な魔物と思えないゴールドゴブリンではあるが、ゴブリン種の頂点と言われるだけの特殊能力を備えている。
「グググ」
短い泣き声を上げ、木の棒に石を蔦で縛りつけた武器を振り上げ走るゴブリン。しかし、そのゴブリンは手にした石斧を目標に振り下ろすことなく凍り漬けとなった。
「フィアナ、そっちは大丈夫か?」
迫りくるゴブリンをバレットにより凍り漬けにした蓮は、背後でゴブリンに炎の槍を突き刺していたフィアナへと声をかける。フィアナはゴブリンの腹部焼いた炎の槍を構え直すと、少し離れたところでゴブリンの喉へ燃え盛る牙を喰いこませているファングへと視線をやった。
「こっちは大丈夫だけど、あんたは平気なの?スノウも頑張ってるみたいだけど、その子、あまり戦闘向きじゃないみたいだし。それとアレ使えないの?森を凍らせたやつ」
「今のところは大丈夫。スノウの妨害がなきゃ確実にぼこられてたところだよ。凍る世界はこんな乱戦だと使えないだろう」
大声で話しながらも、近づいてくるゴブリン達を絶命させる蓮とフィアナだったが、武器と呼ぶのも躊躇われる、粗末な得物を手に襲いかかるゴブリン達。
「ああ、もうあの時に戻れるなら、悲鳴を上げちゃダメって自分に注意したいわよ!」
炎の槍を四体のゴブリンが固まっているところに投的し、愚痴を溢すフィアナ。五十匹近いゴブリンに囲まれているという、危機的状況にも関わらず愚痴ってしまうのは仕方のないことだろう。そもそも二人が、ゴールドゴブリンに見つかってしまった原因はというと、ユーゲルという愛玩用に飼われることの多い、野球ボール大のふさふさした毛をもつ生物が、ゴールドゴブリンを見ているフィアナのスカートの中に入り、飛び跳ねてしまい、それに驚いたフィアナが悲鳴をあげたからである。
蓮はその言葉に心の中で同意しつつ、バレットの詠唱を行う。詠唱時間を隙と見た離れたところにいた三匹のゴブリンが、手にした石斧やら錆びた剣やら拳大の石を投げつけるが、蓮の頭上に浮いたスノウが風の壁を作った為に、その攻撃が無駄と終わる。先ほどから何度も繰り返されている攻防なのだが、ゴブリンは学習能力が無いらしく、何度スノウの風の壁に攻撃を阻まれても、蓮が詠唱を開始すると決まって得物を投げつけていた。
「フィアナ、とりあえず、ここから離脱しよう。周りが森だと俺の魔法は命中率が悪いし、不意打ちしてくる知能はないと思うけど、死角から攻撃されることがないとは言い切れないし」
「離脱するのには賛成。ゴールドゴブリンを倒さないと、あいつの能力でわらわらと湧いて出てくる。でもどうするの?私の魔法って基本的に少数を相手取る魔法ばっかだし、この包囲を抜けるのはちょっときついわ」
作戦会議のために、背中合わせで立つ二人。獲物が固まったと喜び走り寄るゴブリンだったが、蓮の魔法に凍らされたり、ファングに飛びかかられ燃やされたりと、彼らが思うようには近づけないでいる。こうして話している間にも、ゴブリンの数を減らしている蓮達だったが、彼らの周りを囲むゴブリンの数は対して変わっていない。何故なら、少し離れた場所に位置する木の影にいるゴールドゴブリンの能力により、近辺にいるゴブリンが少しづつ集められているからである。ゴブリンの数にももちろん限りはある。だが、蓮とフィアナがどうしてクーレルの森に来たのかを思い出せば、ゴブリンの数が中々減らない理由もわかるだろう。つまりはそういうことなのだ。クーレルの森にはゴブリンの巣がある。だから、戦闘が始まってから十分、二人合わせて軽く四十匹は倒している筈なのだが、周りを囲むゴブリンの数は気がつけば戻ってしまっていた。
「グロい光景になりそうだけど、俺が道を作る」
「了解!」
「我が魔力を糧に標的を打ち貫く風の弾丸をもたらせ。バレット!」
アレンジの加えられた詠唱、これにより本来、水色の文字で手の甲に浮かぶⅦという数字は、薄い緑色で浮かび上がった。
手の甲に一度視線をやり、次いで正面に群れているゴブリンに目をやり、この状況から抜け出す為の行動に移る。
「バレット、フルバースト!」
手の甲の数字が消え、蓮から放たれる七つの弾丸。それはゴブリンを凍らせることなく、ただ射線上に存在するものを抉り前へと進む。
蓮が今放ったのは、今日使えるとわかったばかりの風のバレット。風の塊により障害物を抉り目標まで進む性質をもつ風属性のバレットは、今の状況を打破するには十分な威力をもっていた。進路上に立ちふさがるゴブリンが風のバレットに巻き込まれ肉片へとその姿を変えていく。緑の液体をまき散らし飛び散る肉片。あまりにグロテスクな光景に吐き気を催すが、吐いている時間などない。
「抜けるよ。フィアナ」
フィアナの手を引き、蓮は走る。当然、走る先には蹴散らしたゴブリンの死体が転がっており、走るたびに、ぐちゃぐちゃと耳障りな音が聞こえる。その音を聞き、生物を殺したという実感が蓮の中に浮かんできた。その実感を今は考えないようにと、数回頭を左右にふる蓮。
「ちょっと、顔色悪いわよ」
横を走る蓮に声をかけつつ、追ってきているゴブリン達に向け、炎の槍を投げつける爆ぜさせるフィアナ。
「平気だから。今は走ろう」
「わかったわ」
こうして蓮は心に傷を追いながらも、二人はゴブリン達の包囲網を抜けることに成功し、なんとか逃げ切ったのだった。
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