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第7話「灼熱の100立米! 全員集合、コンクリ打設」

建設現場において、これほど緊張感が高まる日は他にない。

「コンクリート打設」。

それは、これまで積み上げてきたすべての努力――

レンさんが編み上げた鉄筋の美しさも、

パネ美さんがミリ単位で合わせた型枠の精度も、

ホースさんとボルトさんが這わせた血管と神経も、

すべてが灰色の液体のなかに沈み、建物の「骨」として永遠に固定される日。

やり直しは、きかない。

生コンクリートは、一度流れ出せば止まることのない砂時計と同じだ。

太陽が照りつける屋上。轟音を上げるポンプ車。

そして、刻一刻と迫る「硬化」という名のタイムリミット。

「失敗すれば、全部壊してやり直し」

その重圧を背負い、今までバラバラだった5人の女子たちが、

一つの「床」を作るために、今日、本当のチームになる。

佐藤てっこ、本日は現場の指揮官。

この灼熱の戦場で、一滴のミスも許さない。

建物の鼓動が始まる、運命の1日が幕を開ける。

1. 一発勝負の砂時計、命を吹き込む咆哮


建設現場において、これほど緊張感が高まる日は他にない。


「コンクリート打設」。


それは、それまで積み上げてきた鉄筋、型枠、配管、配線……すべての努力が、液体から固体へと姿を変え、建物の「骨」として永遠に固定される日。


やり直しは、きかない。


生コンクリートは、一度流れ出せば止まることのない砂時計と同じだ。


太陽が照りつける屋上、轟音を上げるポンプ車、そして刻一刻と迫る硬化のタイムリミット。


「失敗すれば、全部壊してやり直し」


その重圧を背負い、今まで喧嘩ばかりだった5人の女子たちが、一つの「床」を作るために、今日、本当のチームになる。


佐藤てっこ、本日は現場の指揮官。


この灼熱の戦場で、一滴のミスも許さない。


建物の鼓動が始まる、運命の1日が幕を開ける。



2. 現場の咆哮

朝8時。現場には巨大なポンプ車が居座り、象の鼻のようなブームを屋上へと伸ばしている。


「てっこ! 生コン車、1台目到着したよ!」


無線から飛んでくるパネ美の野太い声。


「了解! 打設開始します!」


てっこの合図で、ドロドロとした生コンが吐き出された。重い、熱い、そして凄まじい圧。



3. 全員、戦闘態勢


「レン! そこ、コンクリの重みで鉄筋が沈むよ、スペーサー(間隔保持材)チェック!」


レンは無言で頷き、コンクリの波に逆らって鉄筋を持ち上げる。


「ボルト、そこのボックスが埋まりそう! 押さえて!」


「……わかってるっす。ホースさん、そっちの配管も逃げてる!」


普段はマイペースなボルトも、今日はイヤホンを外し、泥まみれになりながら配線ボックスを死守している。


ホースはバールを手に、コンクリに飲み込まれそうなスリーブ(配管穴)を力ずくで引き戻す。


「あたしたちの道を塞がせないわよ!」



4. 極限の連帯


気温は30度を超え、コンクリの照り返しが体力を奪う。


「てっこちゃん、柱の根元見て! 型枠が膨らんでる!」


パネ美の叫びに、てっこは一瞬で血の気が引いた。型枠が破裂すれば、すべてが台無しになる。


「パネ美さん、補強用のチェーン持ってきます! レンさん、こっちを手伝って!」


てっこは泥を跳ね飛ばしながら走り、パネ美、レンと協力して型枠を締め上げる。


職種なんて関係ない。今、目の前のコンクリを形にする。その一心で5人の動きがシンクロした。



5. 黄金の夕暮れ


午後4時。100立米(コンクリ車約20台分)の打設が終了した。


そこには、夕陽を反射して滑らかに輝く、広大なコンクリートの海が広がっていた。


全員、作業着は泥と汗でボロボロ。


パネ美は長靴を脱ぎ捨てて座り込み、ボルトは力尽きたように寝転び、レンは静かに自分の手を眺めている。


てっこは、冷えたスポーツドリンクを配り歩いた。

「……みなさん、ありがとうございました。最高の床です」


パネ美がグイッと飲み干し、笑った。


「てっこちゃん。これでようやく、この建物に『魂』が入ったわね」


泥だらけの5人の顔に、今日一番の清々しい笑顔が浮かんだ。

【今回の現場あるある】


打設中は職種間の垣根が消える。(鉄筋屋が型枠を叩き、監督が掃除を手伝う)


コンクリは「生き物」。(天候や時間で刻々と固まり方が変わるため、一瞬も目が離せない)


終わった後の「長靴の掃除」が、実は一番しんどい。

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