第6話「現場の家庭科室! 鋼の主婦たちと秘密のレシピ」
建設現場は、究極の「逆算」で動いている。
コンクリートが固まる時間から、生コン車が到着する時間を割り出し、
その数時間前までに、すべての鉄筋と型枠を完璧に組み上げる。
けれど、私が出会った二人の職人は、
それよりももっと複雑で、もっとシビアな逆算の中で生きていた。
型枠屋のパネ美さんと、設備屋のホースさん。
彼女たちの頭の中にあるのは、現場の工程表だけじゃない。
「夕飯の献立」「洗濯物の乾き具合」「スーパーの特売時間のカウントダウン」。
インパクトドライバーを握るその手は、
今夜のハンバーグをこねる手でもあり、
数トンもの生コンを支える型枠を締めるその腕は、
反抗期の子供を抱き上げる腕でもある。
「てっこちゃん、仕事も家事も、要は『段取り』よ!」
豪快に笑い飛ばす彼女たちの言葉は、
どんな専門書よりも重く、どんなマニュアルよりも鋭い。
佐藤てっこ、本日は人生の教習生。
現場を、そして家庭を切り盛りする「鋼の主婦たち」から、
生きるための最強のライフハックを学び取る。
さあ、特売のタイムセールに間に合うように――
今日の現場も、倍速で回していくわよ!
1. 職人の休憩時間は「主婦の戦場」
10時の休憩時間。詰所(休憩所)のテーブルに、**パネ美(型枠)と、のホース(設備)**が向かい合って座っていました。二人の間には、それぞれの愛妻……ではなく「自分専用のデカい弁当箱」が。
「ちょっとパネ美さん、この前の**『インパクトドライバーで混ぜるポテサラ』**のレシピ、最高だったよ! 芋の潰れ方が均一で時短になるね!」
「でしょ!? あたしなんか、最近は**『ヒートガン(工業用ドライヤー)』**で肉を炙ってるわよ。火力が違うから、外はカリッと中はジューシー!」
通りかかったてっこは、持っていた図面を落としそうになりました。
(……現場の道具を調理器具にしないでください……!)
2. てっこのお悩み相談
「……あの、お二人とも。主婦業とこのハードな仕事を両立するコツってあるんですか?」
てっこが恐る恐る聞くと、二人は同時にニヤリと笑いました。
「いい? てっこちゃん。現場管理も家事も、要は**『段取り』**なのよ」とホース。
「そうそう。晩ごはんの献立を考えるのは、コンクリの打設計画を立てるのと同じ。逆算して動くの!」とパネ美。
3. 「現場あるある」家事編
そこへ、クールなレンが黙って座り、水筒の緑茶を飲みます。
「……二人の洗濯物、大変そう」
「そうなのよレンちゃん! 聞いてよ!」
ホースが食いつきます。
「設備屋の作業着は油汚れが凄いでしょ? 普通の洗剤じゃ落ちないから、あたしは**『パーツクリーナー』**をシュッとしてから洗うよ!」
「あたしなんて型枠の剥離剤がついちゃうから、家中のタオルが全部撥水加工されちゃって、お風呂上がりに体が拭けないわよ(笑)!」
二人の豪快な笑い声に、てっこは感心するやら呆れるやら。
4. 共通の敵は「特売日」
「……あ、ヤバい! パネ美さん、今日近所のスーパー、卵が100円の日じゃない!?」
ホースが突然、腕時計(G-SHOCKの工事モデル)を見て叫びました。
「何だって!? 今日、生コン車の到着が遅れてるから、終礼が伸びるかもしれないよ!」
二人は途端に真剣な表情になり、現場監督であるてっこを囲みました。
「ねぇ、てっこちゃん。今日の打合せ、5分……いや、3分で終わらせてくれない?」
「今日の検査、サクサク進めてくれたら、明日のスリーブ工事、倍速で終わらせてあげるから!」
二人の「主婦の執念」を込めた眼圧に、てっこはタジタジです。
「は、はいっ! 効率化、頑張ります!」
5. 背中で語る女の強さ
休憩が終わり、二人は再びヘルメットを被り、腰袋を締め直しました。
さっきまで「卵が100円」と騒いでいたとは思えないほど、その背中はプロフェッショナルの職人そのもの。
「……てっこさん。あのお二人は、最強。……敵に回すと、怖い」
レンがポツリと言いました。
てっこは手帳に新しい「現場訓」を書き込みました。
『職人の主婦たちは、段取りの神様。スーパーの特売日は、工期よりも優先されることがある(要注意)。』
【今回の現場あるある】
女性職人さんの「現場の道具を使った家事ハック」は、意外と合理的。
作業着の汚れ落ちについては、プロ並みの知識を持っている。
夕方の特売時間に合わせて、現場のスピードが急激に上がることがある。




