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第4話「壁の向こうの迷宮! 設備屋ホース、襲来」

コンクリートが固まり、この建物に「形」が生まれた。

けれど、今のままではまだ、ただの冷たい石の箱に過ぎない。

今日から始まるのは、建物に命を吹き込む作業。

水を運び、汚れを流し、空気を巡らせる――いわば、建物の「血管」を作るプロセスだ。

そんな重要な工程を担って現れたのは、

嵐のようなハイエースに乗った、現場一番の情熱家・管野ホースさん。

「おっ、ここが私の戦場(現場)ね!」

彼女が持ち込んだのは、重たいパイプレンチと、

構造(鉄筋)と設備(配管)の隙間を巡る、終わりのないパズル。

『図面通り』を死守したい私と、

『流れの良さ』に命をかけるホースさん。

コンクリートの壁の向こう側、

目に見えない場所で繰り広げられる、数センチ単位の場所取り合戦。

一つひとつのパイプが繋がるたびに、

この無機質な箱が、少しずつ「誰かの家」へと鼓動を始める。

佐藤てっこ、本日は配管迷宮の案内人。

水の流れる音を夢見て、いざ、床下の冒険へ。

1. 嵐を呼ぶハイエース


現場の搬入口に、これでもかと工具を積み込んだハイエースが急ブレーキで止まりました。


運転席から降りてきたのは、ポニーテールを高い位置で結び、腰袋を重そうに鳴らす女性――管野ホースです。


「おっ、ここが新しい現場? ……って、なんだぁ、監督さんはこのひよっこちゃん?」


ホースはてっこを上から下まで眺めると、ニカッと笑って自分の名刺(少し油がついている)を差し出しました。


「設備屋の管野。みんなからはホースって呼ばれてるわ。よろしく、てっこちゃん!」



2. 現場の「血管」が通らない!


挨拶もそこそこに、ホースは3階の廊下で図面を広げました。


「ねぇ、てっこちゃん。ここ、話が違うじゃない。なんではりの下にこんなに鉄筋が密集してるの? これじゃあ私の排水管が通せないわよ!」


「えっ!? でも、レンさん(鉄筋屋)が強度のためにここはどうしても必要だって……」


「レン? あのクールな鉄筋娘ね。……ちょっと呼んできて! どっちが優先か、白黒つけようじゃない!」



3. 鉄筋 vs 配管


呼び出されたレンと、詰め寄るホース。


「……鉄筋を抜くことはできません。建物が持ちません」とレン。


「……配管を通さなきゃ、ここはトイレもキッチンも使えない『ただの箱』よ!」とホース。


てっこは、二人のプロフェッショナルの板挟みになります。


「あの、あの……配管を少し迂回させるのは……」


「「ダメ!!」」


二人の声が重なります。


「迂回させたら水が流れない(逆勾配)!」


「これ以上鉄筋を曲げたら強度が落ちる!」



4. てっこの「現場知恵」


てっこは必死に図面を睨みつけ、ある一点を指差しました。


「……ここ! ここの壁の仕上げ、パネ美さんが『フカシ(厚みを増やす)』って言ってました! その隙間を使えば、鉄筋を避けつつ、配管を真っ直ぐ通せるんじゃないですか!?」


レンとホースが同時に顔を寄せます。


「……50ミリの余裕があるなら、いけるかも」とレン。


「……それなら勾配も取れるわね」とホース。


ホースはてっこの頭をガシガシと撫で回しました。


「やるじゃない、ひよっこ監督! 現場の納まり(おさまり)が見えてきたじゃないの!」



5. 絆のコーヒー


休憩時間、自販機の前で。


ホースはレンに「ほら、鉄分の補給」と缶入りのココアを投げ渡しました。


「……ありがとう、ホースさん」と、レンも少しだけ表情を緩めます。


てっこは自分の手帳に書き込みます。


『設備屋さんは現場の血管。構造レンさんと仕上げ(パネ美さん)の間で、一番苦労している。』


「さぁ、てっこちゃん! 明日は1階の床下の仕込みよ! 泥だらけになる準備はいい!?」


ホースの明るい声が、まだ何もないコンクリートの空間に響き渡りました。

【今回の現場あるある】

設備屋さんは、構造(鉄筋・コンクリ)と常に「場所の奪い合い」をしている。


「配管の勾配(傾斜)」を確保するために、数センチ単位のバトルが繰り広げられる。


設備屋さんが来ると、現場に一気に「生活感(水道・ガス)」のリアリティが出る。

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