黒い穴
手のひらに黒い丸い穴がある
本当ならば気になって、
気になって眠れぬ夜になるのだが、
そんなものは知りもしない
と言わんばかりに、平穏だと思い込む
手のひらには黒くて深い穴がある
不安になる気もないので、
手の甲ばかりを見つめて、
見つめて浮き出る血管に潜り込み、
血の気も失せれば目を瞑る
手のひらの黒丸は広がって、
広がってやがては私自身が穴になる
電灯の淡い光がやたらと眩しく、
眩しいはずと目を開いて見てみたら、
光はまだ、私の元まで届いていなかった
布団の上には、人の形の穴がある
私の穴だ
じわりじわりと右手から
血管を通り心臓へ、
そのまま身体中へと広がって、
じわりじわりと、潜ったままで、
夜の部屋は穴となる
私から広がって、私は底にいる
朝までには這い出なければ、ならない
戻れなくなるだろうから、
このままではいけない、と知っている、
けれども、ただ私は、光を探していた




