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「万羽香奈」という女

こちらの作品は性犯罪を題材にしており、軽度な行為の描写が含まれます。

そういった内容の話が苦手という方は、読まないことをおすすめします。

作者的な制限は十五歳以上です。ですが、あくまで作者にとっての感じかたなので参考程度に。

それでも構わないという方のみ、読み進めてください。お願いします。


 勢度さんから依頼を引き受けた、その日の早朝。

 深夜から一睡もしていない俺は、ターゲットの情報をまとめた紙を片手に、AVCの東京本部へと来ていた。

 その本部の中でも極秘場所、日本全土の監視カメラの情報が集うモニタールームへと入る。許可を得た人員しか入ることの出来ない、文字通りの極秘。

 そんな場所へと足を踏み入れると、中学校などにある黒板サイズのモニターが五十以上、壁一面に設置された光景が目に入る。


「お、おおぉぉぉ⁉ あ、あなたってまさか、あの祥司さんじゃないですか⁉」

「ん? ――ああ、そう。俺がその祥司さん」

「やっばい! お目にかかれて光栄です‼ 実物もちょーイケメンじゃないですか!」

「でしょでしょ~? ま、それほどでもないけどねっ」


 モニタールームに入った途端、見ず知らずのAVC職員から声をかけられる。

 これはもはや慣れたことだ。すぅぱぁなエリートである俺の知名度が高いのは当然。俺は相手を知らないが、相手は俺を知っているなんてことはザラにある。というか、それしかない。


「え、え、ていうか! 祥司さんみたいなエリートがどうしてここに居るんですか⁉」

「あー、それ。実はここで探したい人物がいてね」


 やけにハイテンションなその女子に、手に持っている紙を叩きながら答える。

 恐らくこの女子が今の時間帯のモニタールーム管理者なのだろう。


「お、おお任せください! どんな人物ですか⁉ 命に代えても探し出してやりますとも! ええ!」

「いや、普通に探してくれりゃいいいんだけどさ。……「万羽香奈(まんばかな)」っていう女性を探してくれるか?」


 探して貰いたい人物の名前を言いつつ、特徴を伝えるために情報へ目を落とす。


 万羽香奈、二十歳、東京都在住の○○大学二年生。

 現在マンションにて一人暮らし。恋人やそれに発展しそうな異性の存在は確認できず。親からの仕送りを元に、アルバイトで生計を立てている模様。

 身長百五十七センチ、体重四十八キロ。スリーサイズは上から85・63・87。

 グレージュ色のボブというヘアスタイル。寒色系の服をよく好む。


 ざっと読み通した文字の情報を加味して、添付されている顔写真に目を向ける。

 なんというか、人懐っこそうな顔立ちだ。


「○○大学の学生で、グレージュ色の髪をした人間がいるはずだ。身長は百五十七センチ。これで探してみてくれ」

「らじゃです! 少々お待ちくださいねー!」


 管理者は張り切って答えると、もの凄い速さで手元の端末を操作し映像を次々に切り替えていく。瞬間で切り替わる映像を目で追ってみるも、なにも分からなかった。

 そんなこんなで僅か三分もしないうちに、「万羽香奈」を捉えた映像が複数ピックアップされる。


「この人で合ってますか⁉ 間違っていたらやり直します‼」

「いや、大丈夫。この人であってるっぽいね。助かったよ」


 写真の人物と映像の人物とを見比べて、大きな違いがないことを確認する。写真で見る分には普通の女性だが、映像で見るとかなり印象が変わる。

 かなり豊満な身体の持ち主だ。夢魔体質でなくとも異性を誘惑できそうなくらいには。


「そんじゃ、この人の普段の行動をまとめてくれ。曜日毎に分けて。ああそれと、通っている大学と家までのルートも頼む。どれくらいかかりそう?」

「お、お望みとあれば今すぐに作って見せますう!」

「んー、いや。情報が抜け落ちてたら困るから、それなりに時間かけて作ってくれよ」


 俺がそう言うと管理者は「で、では一時間ほどください」と言って仕事に集中した。

 それを確認した俺はモニタールームを出て、休憩室の自販機でアイスコーヒーを買う。


 現在時刻は朝の四時。作業が終わったとして午前五時。

 そんな時間から、女子大生であるターゲットが外出することはほぼないだろう。であれば、今日から問題なく監視を始められそうか。


「……そしたら、待ってる間に道具の手入れでもしておくかね~」


 実際に監視を始めたら、すぅぱぁなエリートである俺がしくじる事はほぼない。そう考えれば、この任務はもうほとんど遂行したようなものだ。

 夢魔体質の解析も、実際に解析するのは俺ではないわけだし。俺が集めた情報を元に研究者が解析するだけだ。

 早くも任務を終わらせた気分でいる俺は、任務を終わらせたあとに何をするかへ思いを馳せながら、アイスコーヒーの缶を潰して捨てた。


 ちょうどその時、俺のスマホに電話がかかってくる。

 かけてきた相手は登古田明音(とこだあきね)だ。俺の後輩にしてパートナーである。因みに、彼女も大変優秀なエージェントだ。俺が育成したのだから当然だが。


『もしもし、清史郞先輩。さっき勢度さんから任務の情報を聞きました。私はいつでも準備出来ています』

「ああ、勢度さんから聞いたのか。って事は明音が今回の監視員(オブザーバー)?」

『はい。万羽香奈に付いている監視員は私です。――久しぶりの任務ですね、先輩』

「なるほど、いいね。最高だ。明音(あきね)監視員(オブザーバー)なら失敗しようがない」

 

 AVCという組織には、大きく分けて二つの人員がいる。

 それは「執行員」と「監視員」の二つだ。

 執行員は要するに俺で、実際に現場に赴き沈静化させる役割。監視員は文字通り監視員だ。

 

 AVCの組織員として日常に溶け込み、怪しい動きを見せる人や組織を監視する。

 監視員の主な役割としては、ブラックリストに載っている人物と接触し情報を集めること。だが、さっきのモニタールームにいた奴のように、接触しない奴もいたりするが。

 言ってしまえば、監視員は夢魔体質の人間を監視するのが仕事というわけだ。


『それで、先輩。勢度さんから、今回の目標は「排除」ではないと聞いているんですが。排除じゃないとすると、今回の目標はなんですか?』

「あぁ、排除じゃない。つっても、俺もなんて言ったらいいのか分からないんだけど。まー、強いて言うなら……「解析」ってところだな」

『か、解析……? すみません、具体的にお願いします』


 電話の向こうから聞こえる明音の声が、明らかに困惑していた。無理もない。

 夢魔体質の解析なんて既にやっているし、解析に必要な情報を組織に報告するのが明音の仕事なのだから。今までやっている仕事を、改めて依頼されたら訳が分からないだろう。

 だが、俺がこれから言うのはさらに訳の分からないことなのだ。


「簡潔に言うと、だね。夢魔体質の原因を突き止めて、日本から夢魔体質の人間を無くせっていうのが今回の目標」

『――は、え? わ、私たち二人で、ですか……?』

「そぉう‼ 俺達二人でやるらしい」

『さ、作戦は……?』

「ノープラン。ま、ひとまず様子見しながらアドリブでって感じ」

『う、嘘ですよね? そんなの出来るわけ……』

「いや大マジ。そんでもって、やるっきゃない」


 俺がそう言うと、電話の向こうから「ぁ……」という、か細い声が聞こえた。


「まぁ、ひとまずはその「万羽香奈」について知らないと作戦も立てらんない。てなわけで、後でいいから詳細な夢魔体質の情報を送っといて欲しい」

『わかり、ました……』


 非常に不本意そうな声がスピーカー越しに聞こえる。

 どうやら明音は完全に心が折れてしまったらしい。気持ちは分からんでもないが……情けない。

 全く。どうやらここは、先輩として後輩を励まさなければいけないか。


「安心しなよ、明音。今回は俺が一緒なんだし。サクッと終わらせて、旨いものでも食べに行こう」

『先輩! 私、楽しみにして――』

「もちろん、勢度さんの奢りで」


 一瞬の間。その後、クソでかい溜息と共に「せんぱいぃ……」と呆れたような声で俺のことを呼ぶ明音。何が言いたいんだか。

 部下が頑張ってんだから、上司はそれを労うくらい当然のこったろうよ。それに、それを拒む勢度さんじゃないんだから。


『――あとで、ターゲットの情報は送っておきますー。私はいつも通り監視してるので、作戦が決まったら伝えてくださいー』

「明音? お前なんで拗ねてんの?」

『別にぃ? 拗ねていませんが? 先輩のおかげでやる気出ましたとも、えぇ。今の私は勢度さんに奢って貰う為に任務を頑張るつもりですよ』

「あぁそう? ならまぁ、いいんだけどさ。じゃあまた後で」


 そう言って電話を切る。その直前、明音が「ど腐れ先輩が……」などと口走っていたが気にしない。後輩の言葉に一々キレるほど、器の小さい人間じゃないからな。


「さーて、やるとしますか」


 監視員が明音だったのは幸いだ。俺が多少飛ばしても対応できるくらいの余裕はある。であれば、夢魔体質の排除とまではいかなくても、原因究明くらいなら出来そうだ。


 そんなこんなで俺は、ターゲットの情報をまとめて貰っていることも忘れて、伸びをしながら本部から出る。

 そして、これから始まる骨の折れそうな仕事の準備で家に戻った。


   ◇


「明音、ターゲットの様子は?」

『現在は落ち着いてます。夢魔体質の発動もありません』

「了解。そのまま監視を続けてくれ」

 

 時刻は正午。お昼時となり、少し賑やかになったスローバックスでアイスコーヒーを飲みながら、明音と無線通信で会話する。

 

 明音はターゲットの通う大学に通っている。これはただの偶然ではなく、AVCの手配によるもの。

 ターゲットの日常生活に近い場所にエージェントを忍ばせる。AVCの常套手段だ。

 そして、明音とターゲットの関係は友人らしい。これ以上ないほど完璧だ。

 ターゲットと長時間行動しても何の疑いもかけられず、入手の難しい情報を簡単に手に入れることが出来る。流石は俺の後輩。

 

 一方で俺はというと、サラリーマンに扮して明音の送ってきた情報を眺めていた。傍から見て何の違和感もない、ノマドワークするサラリーマンだ。


「しっかし、思ったより反応ないな」


 そして、その情報を見ながら苦悩混じりの愚痴を吐いた。

 意外にも、この「万羽香奈」という女の体質が発動する回数が少ない。夢魔体質の発動は、体質を持つ本人の意思は関係なく周囲を興奮状態にさせるはずだが。

 軽度の性犯罪に遭遇したときも、夢魔体質の発動によるものではなく、自然的に発生したものだったらしい。

 明音の前だけ発動の回数が低いというのであれば、対策のしようもあったのだが。明音の行動している、していない関係なく、極端に発動する回数が少ない。


 だというのに、性犯罪に巻き込まれる回数は夢魔体質持ちの中でもトップレベル。


「きっかっけが分からないことには、こっちから仕掛けようがないな」


 執行員と監視員がペアとなって活動するときのメリットがある。それは、意図的に夢魔体質の発動をさせることが出来る点だ。

 監視員だけでは、夢魔体質の強制興奮状態に抵抗は出来るものの、それによる暴動を鎮静化することは出来ない。

 しかし、そこに執行員がいれば、暴動の鎮静化は容易く行える。故に、夢魔体質を意図的に発動させたとしても、迅速な対処が可能なわけだ。

 この方法を使って、夢魔体質の尻尾を掴んでやろうと思ったのだが、こっちの仕掛けに反応しないのでは厳しい。


「それとも、完全に不定期でトリガーが存在しない、か……」


 そうなってくると、かなり面倒くさいことになるな。出来ればそうじゃないことを祈るばかりだ。


 などと思考を巡らせていると、明音から無線が飛んでくる。


『先輩。講義が終わったので大学を出ます。これから私たちはショッピングモールに向かう予定です』

「分かった。俺もそっちに向かう」

『それで、ナンパなど勧誘の対処はどうしましょう?』

「今回は受けてくれ、違和感がない程度に。事に及びそうになったらこっちで対処する」

『了解しました。じゃあまた、後ほど』


 無線が切れた後、机の上に出したノートパソコンを鞄にしまい、半分ほど残っていたアイスコーヒーを飲み干した。

 そして手早く会計を済ませ、スマホに送られてきたショッピングモールへと向かう。


 しっかし、ショッピングモールとは都合がいい。

 自分から夢魔体質を発動しに向かってくれたような都合の良さだ。


「そこでトリガーを見つけられなきゃ、いよいよ厳しそうだな」


 もしショッピングモールでも見つけることが出来なかったら、いよいよ最終手段に頼るしかなくなってくる。

 日常の範疇では間違いなく済まない。

 最悪、ターゲットに記憶消去の施術をしないといけない事態になってくる。

 それだけは避けたいと思いながら、俺はショッピングモールへと足を踏み入れた。


 だが、ショッピングモールに入ってから三時間。ターゲットの夢魔体質が発動することはついになかった。


   ◇


「ねぇ香奈(かな)。これ、本当に似合ってる?」

「うん! すっごく似合ってるよ! とっても可愛い!」

 

 と、手を合わせて楽しそうに話す「ターゲット」兼、私の友達。


「着けてみてどうですか? 違和感などあります?」


 まさか自分の下着姿をターゲットに見せることになるとは思わず赤面していると、店員さんがブラの着け心地を聞いてくる。


「と、特に違和感とかはないです。ただ、デザインがちょっと……」


 今の自分が着けているブラは、レースとリボンでとても可愛らしく仕立てられたもの。自分じゃ絶対に選ばない類いの下着。そのせいか、凄く似合ってないように見える。


「えー? 凄く可愛いのに! ね? 店員さんもそう思いますよね?」

「はぁい♪ きっと、その姿を見せる人にも気に入って貰えると思いますよー♪」

「いや、でも……ちょっとこれは……」

 

 流石は夢魔体質の持ち主が選んだブラとでも言うべきか。私には、薄水色のこの下着は可愛すぎる。


 というか! そもそも私はブラを買いたいなんて思ってなかったし!

 私がここに着たのは任務のためだし! じゃなきゃ友達と一緒でもブラなんて買わないし!


 と、私の胸中はそんな思いでいっぱいなのに、それを口にすることは出来ない。

 結果、私は言葉を濁すことしか出来ず二人に辱められている。


「……もし、似合ってないと感じてしまうようでしたら、他の色も試着してみますか? 色を変えるだけでかなり印象変わりますよ?」

「え、いや……。そもそも買うつもりなくて――」

「えぇ、買わないの⁉ こんなに可愛いのに⁉ 勿体ない!」


 何なんだこのターゲット。何でそんなに私へ下着を買うことを勧めてくるのよ。


「さ、最近ちょっと生活厳しくて。下着買ってる余裕ないかなー、って……」

「そうなの? じゃあ私がプレゼントしてあげるよ!」

「は――」


 そういう問題じゃないのよ、そういう問題じゃ。私は買いたくないの!

 あぁぁ、こんなことなら先輩の要求を断っておくんだったなぁ。


 良い声で「下着屋とかに誘導してみてくれ」なんて言ってきて。任務のためでもこれはどうなのよ。良くないでしょ、こういうの。

 そうだ、今の状況は先輩が全て悪い。


 下着屋に誘導するまでは良かったものの、怪しまれずに誘導するなら自分が「下着を見たい」と言うしかないわけで。

 そう言った手前、選ばないわけにもいかないし。そもそもターゲットの夢魔体質のトリガーを探しているわけだから、ターゲットを放置することも出来ないし。


 そしたらこうなるのは確定事項じゃない。なんで気付かなかったんだろう、私。

 そう思いながら、不似合いに見える可愛いブラを着けた自分の貧相な胸に目を落とす。


 気にしているわけじゃない。AVCの一員である以上、自分の存在が犯罪の温床みたいなことになるわけにはいかない。だから、私は私のままでいい。

 でも……。でも流石に、服の上からでも私の倍くらいありそうなものを見せつけられるとへこむ。


「……明音? 本当に買わないの?」


 と、私が俯いていると、それを「悩んでいる」と受け取ったのかターゲットが私の顔を覗き込んで聞いてきた。


「――買、わない。そもそも見に来ただけだし。ほら、帰るよ」

「いいの? その下着ならきっと、好きな人を落とせるかもよ?」

「な……ッ⁉」


 私に好きな人なんていないし。というか、誰かに見せる予定もないし。勘違いも甚だしい。

 だというのに、私の反応を見たターゲットは満足そうに頷くと、何やら店員へと耳打ちをする。


「ちょ……香奈⁉」

「いいよいいよ~、私が買ってあげるからっ♪ 明音へのプレゼント♪」

「そちらは着けたまま帰って頂いて構いません。あ、値札だけ取らせて貰いますね」


 そう言って店員は私が着けたままのブラから簡単に値札を外し、それを持ってターゲットと試着室から出て行く。

 そうして一人になった試着室で、私は連絡を待つ先輩に報告した。


「……夢魔体質の発動はありませんでした。これから家に帰ります」


 壁によりかかり、膝を抱えて座り込みながら。感じている恥ずかしさを隠しきれず、少し火照った声で。


「お待たせ明音~。支払い終わったから帰ろ~」


 そうして、にへらと嬉しそうに笑うターゲットに促されて、私たちはショッピングモールを後にした。




「それでそれで~? 明音の好きな人って誰なの~?」

「は⁉ いや、いないから!」


 ショッピングモールを出て帰路へとつく道中、最寄りの駅まで歩いている途中でターゲットから話を振られた。


「嘘はダメだよ~。完全に「いる!」って顔してたもん~。で、誰なの?」

「本当に、いないってば! 何を根拠にそんなこと言ってんの!」

「えー、私には教えてくれないってこと? 酷いなぁ~」

「違っ、そういうわけじゃないって! 本当に――!」


 なんて会話をしながら歩いていたからか、前から来る人に気付かずぶつかった。


「痛……っ」


 気が抜けていた。

 エージェントとして、どんな時でも自分を律していないといけないのに。ターゲットとの会話に夢中で、他の人の動きに気がつかないだなんて。

 ひとまず、ぶつかった人に謝罪しないと。そう思って顔を上げたとき。


 私の前に立っていた男が、無造作に私の腕を掴み上げた。


「――っ⁉」


 咄嗟に全身が強ばり、腕を男から振り払おうとする。しかし、そこでふと我に返った。

 もしかして、ここに来てターゲットの夢魔体質が発動したのではないか、と。

 であれば私のやることは、落ち着いて先輩に連絡すること。目の前で無線機による報告をしたとしても、興奮状態によって自我を失っているなら怪しまれることはない。

 そう、思ったのだけど。


「なぁ、ねーちゃん。一発ヤらせろよ。俺達めっちゃ溜まってんだわ」

「うそ⁉ 喋っ――!」


 夢魔体質によって興奮状態にある人は、自我を失って本能をむき出しの獣になる。

 だから言葉を発することはない。いや、言葉を発しても大半が意味のないもので、会話など出来るわけがない。


 というか、もしターゲットによる夢魔体質の発動が起こったのだとしたら。すぐ近くにいた私が気付けなかったのもおかしい。

 夢魔体質は周囲の人間を無差別に興奮状態にする。私はAVCによる訓練を受けて多少の抵抗は出来るものの、無効化できるわけじゃない。

 自我を保ち、ある程度の行動は出来るというだけ。興奮状態にはさせられてしまう。

 なのに、今の私はいつもと何ら変わらない。身体の疼きすらない。


 まさか、この男はただの強姦目的――?


 私の思考がその答えに辿り着き、無線機による先輩の報告を断念したのと同時。私の結論の正しさを裏付けるように、ターゲットが私と男の間に割って入った。


「明音を離して! 私の友達なの‼」

「あぁ? ……んだよ。こっちにも上玉いるじゃねぇか」


 しかし、当然と言うべきかターゲット――香奈が止めに入ったところで止まるわけがない。男達は香奈へ下卑た笑顔を見せ、私同様に腕を掴み上げる。

 そしてそのまま、私と香奈の抵抗など意に介さず、男達は細い路地へと入っていく。


「さーて、んじゃ早速いただきますかぁ」

「……こんな路地裏でしようなんて、ムードの欠片もないクソゴリラね」


 先輩に連絡は出来ていない。おまけに突発的な強姦。

 だから時間を稼いだところで助けが来ることはないのだけど、時間稼ぎしようと私の頭は懸命に働いていた。


「おー、いいね。強気な女の子。そういう奴らの心が折れた瞬間が、さいっこうにそそるんだよなぁ!」

「――ッ!」


 私の言葉にキレたのか、私の腕を掴み上げている男が力任せに服を引き裂いた。そして、はだけた服の隙間からさっき買って貰ったばかりのブラの無惨な姿が見える。

 どうやら、服と一緒に引き裂かれてしまったらしい。


「ぁ……」

「おい、おいおいおい! まだ服を脱がしただけだぜぇ⁉ もうしおらしくなんのかよ! こりゃあケッサクだなぁ!」


 そんな男の言葉に言い返してやりたいのに、言葉が何も出てこない。悔しさばかりが込み上げてきて、歯をキツく食いしばるだけ。


「お、いいぜぇ? その反抗的な目。コイツを使う前に大人しくなられちゃ面白くねぇからな」

「そ、れは……」


 男が自慢げに振る試験管の中に入っている緑色の液体。間違いなく媚薬の類いだろう。

 でも、市販に売られているものには見えない。男の態度からして、違法のものか。


「ほら、飲めよ。吐くんじゃねぇぞ?」

 男がそう言った後、それまでついてくるだけだった男が私の口をこじ開ける。まさかコイツら、三人で一人のことを犯そうとしてたのだろうか。

 そんな男達の企みに怖気を感じながらも、口に流される薬を吐き出そうとする。しかし結局上手くいかず、咽せながらも飲み込まされてしまった。


 一応、そういう薬に対抗できるよう訓練された身とはいえ、完璧ではない。

 おまけに今飲まされたものは違法なもの。どれくらいの効果を発揮するのかも定かじゃないと、抵抗しようにも出来ない。

 とはいえ、AVCに所属している以上、こういう目に遭うのは覚悟してた。今までは運が良かったから遭わなかっただけ。

 媚薬のせいか意識がはっきりとしない中、覚悟を決めて男の行動を待っていた。


 けれど、


「……え?」


 それまで自我を保っていた男達は、突然一言も話さなくなった。そればかりか、目に生気が宿っていない。

 相変わらず私の腕は掴み上げられているものの、それ以上何もされなかった。

 その状況に、まさかと思って香奈の方を見る。


 と、そこには想定していたものの、想定外の様子をした香奈が立っていた。

 服は乱れてなくて、一見すると何の違和感もない。けれど、香奈の目は怪しい光を放っている。

 

 ――間違いなく、夢魔体質の発動が起こっている。

 

 今、この男達は香奈によって興奮状態にさせられているのだろう。極端な状態の変化は人間の身体には負担が大きすぎる。その負担による時差によって、男達は止まった。

 はずなのだけど、香奈の様子がおかしい。


 夢魔体質の発動は間違いなく起こっているのだけど、私の知っているものじゃない。

 目だけでなく全身から怪しい光を放ち、私をじっと見据えている。


 かと思うと強い光が香奈を包み込み、光が落ち着いたと思ったら風貌が変わっていた。

 普段の温厚な香奈からは想像も出来ない、獲物を見るような目。それまで着ていた服はどうなったのか、とても扇情的な服とは呼べない何かを身に纏っている。


「香奈……?」


 夢魔体質の人間が変身するなんて聞いたことがない。夢魔体質の人たちは、体質を除けば普通の人間と変わらないはず。

 なのに、目の前の香奈は、私の知らないことになっていて……。


「う――っ!」


 めまぐるしく変わる状況と、想定外の事態に私が混乱していると、掴まれた腕が後ろ手に拘束された。

 私が困惑している間に、男達は興奮状態の負荷から立ち直ったらしい。

 再開するぞと言わんばかりに、男達は私の身体へと手を伸ばす。それを見てほくそ笑む香奈。


「笑った……?」


 そんな香奈の様子が気になったところで、私の運命は変わらない。男の手が私の胸を掴もうとして、私意は目を瞑った。


 直後。


 空気が拡張されるような「ボフン」という音が聞こえた後、革靴が地面を踏み鳴らす音が聞こえる。

 数歩進んだその足音がやがて止まると、


「まいったね。これは完全に想定外だ」


 拍子抜けする、聞き慣れた声が私の耳に聞こえてくる。その声を聞いて安心した私は、ゆっくりと瞼を開いた。


「先輩ぃ――」

「お疲れ様、明音。今助けてあげるから、後は俺に任せて帰って大丈夫だぞ」


 そういって私に微笑みかけてくれる、AVCが誇るエリートの姿を見て。ようやく私は、心の底から安堵することが出来た。


   ◇


 手に持った拳銃のリロードを行いながら、煙幕が晴れた現場の状況を把握をする。

 依然として腕を掴み上げられている明音。その明音を囲うように立つ男三人。そして、だいぶ様子が変わっているターゲット。

 ここに来る前、何かしらの事件に明音が巻き込まれたことは予想したが、


「だいぶ、おかしなことになってるじゃあないか」


 明音にGPSを取り付けていて良かったものの、仲間を危険に晒すとは。すぅぱぁなエリートである俺にあるまじき失態。

 だが今は、そんなことよりもだ。


「どーも、効いてないみたいだな。コレは」


 俺が手に持っている拳銃に実弾は入っていない。代わりに、特殊な催涙弾が装填されている。夢魔体質による興奮を抑制、中和するガス弾だ。

 だというのに、明音はおろか男三人衆にも効果が現れていない。


「せ、先輩! 私は、薬を飲まされてるので、弾の効果は出ないはず、です……っ」

「なるほど、明音だけ別なのか。了解」


 とはいえ男三人衆には効果が出るはず。

 だが、一時的に呆けているだけで興奮状態を解除することは出来ていない。

 

 そして、一番気になるのはターゲットの存在だ。夢魔体質の発動が起こっているはずなのに、男共の標的にされていない。そればかりか、俺のことをじっと見つめている。


 今まで、夢魔体質の人間が性犯罪のターゲットにされることはあったが、夢魔体質の人間が別の誰かを標的にすることはなかったはずだ。


「随分といやらしいカッコしてんじゃないの。サキュバスのコスプレか~?」


 初めて遭遇するケースに警戒して、俺はターゲットへと話しかける。しかし、返答は返ってこない。

 普通の、というか今までの夢魔体質の持ち主だったら会話程度は出来たはずだが。

 こうなったら、この場にいる全員を強制的に黙らせるしかないが、催涙ガス弾は役立たず。かなりマズい状況になっている。


「フ……」


 と、俺がどうしたものかと思考して身動きを取らずにいると、ターゲットが不敵な笑みを浮かべ、俺に向けて手を差し向ける。

 何かの攻撃か、と俺は咄嗟に腕を交差させて防御態勢を取るが、攻撃の類いではなかった。しかし代わりに、明音を囲んでいた男共が俺に視線を向ける。


「なるほど、操ってるわけか」


 一体どういう原理か知らないが、男共は一斉に標的を俺に変えて飛びかかってくる。その直前、隠し持っていたナイフで切り捨てようとしたが躊躇った。


「先輩――‼」


 男共は人間、というか普通の一般人。殺すわけにはいかない。だが、その一瞬が命取りとなって、俺は男共に押し倒される。そんな俺の状況に、明音が鋭い悲鳴を上げた。


 全く、面倒くさいことになってしまった。

 細い小道とはいえ、街のど真ん中。あまり派手にやれば人に気付かれてしまう。一番手っ取り早い催涙ガス弾は使えないときた。

 おまけにターゲットの様子が明らかに変。今はまだ分からないが、「人でない」可能性の方が高い。恐らく、夢魔体質の根幹に関わる存在だろう。

 つまり、今の俺がやらなければいけないことは。必要最小限の手数で、暴徒と化した男共を無力化し、ターゲットの身柄を拘束し、迅速にこの場を離れること。


 ――不可能な事ではない。すぅぱぁなエリートの俺ならば。


 まず俺は、俺の身体にのしかかる男共を蹴り飛ばす。吹き飛ばされた男共が再び寄ってくる前に、催涙ガス弾を発砲。鎮静化は出来ないが、一瞬だけ怯ませることは出来る。

 その隙に男共の額を人差し指で突く。コツは爪で頭蓋骨に穴を開けるようなイメージだ。そうすることによって、脳を揺らされた人間は意識を落とす。


 ショックガンという方法もあったが、あれはかなり大きな音が出るので好きじゃない。それに、全身に電流を流されるより脳を揺らされる方が体の負担も少ない、はず。


 そうして一気に男三人を無力化した俺は、催涙ガス弾の煙が晴れて姿を現わしたターゲットに告げる。


「悪いけど……俺はソッチの趣味はないんだよ」


 激しく動いたせいで締まったスーツのネクタイを緩めながら、明音に手を出そうとしていたターゲットに向き直る。


「邪魔者の排除は雑魚に任せて、自分はお楽しみってか。随分と良いご身分だな」


 あり得ない、とでも言いたげに目を見開くターゲットにドヤ顔をして見せた。だが、さっきと同じように返答は返ってこない。


 しかし、今度は返答の代わりに自ら飛びかかってきた。ハエが止まりそうなほどに遅い身のこなしで、俺の首を掴もうとする。


「やけに明音に執着してるけど……さてはお前、そっち系か?」


 なんていう冗談を挟みながら、伸びきった腕の手首を掴み地面に組み伏せる。


「はい捕まえた~。てことでこのまま連行な」


 自ら捕縛されに来た哀れなターゲットを、男共同様に意識を失わせ運ぼうとした、その時だった。


「アナタ、一体何者ナノヨ⁉ 普通ノ人間デアル私ヲ拘束シテ!」

「……驚いたよ。まさか喋れるなんてな。でも嘘は吐いちゃいけないでしょぉ」

「ナ、何ガ嘘ダト――!」

「お前、人間じゃねーだろ。分かってんだぞ?」


 俺がそれを指摘すると、ターゲットは一瞬怯えたような目つきになった。しかし、その直後には勝手に意識を無くし、その場に崩れ落ちる。


 地面に倒れる際に、それまで着ていたサキュバスのコスプレのような服も元の一般的な服に戻った。と同時に、纏っていた怪しい雰囲気も嘘のように消える。


「は? え、俺は夢でも見てんのか?」


 その、あまりの変わりように俺は度肝を抜かれた。人間ではないと思っていたのだが、地面に寝そべり呼吸をする今の様子は人間そのものだ。

 どうやら、ただ「人間ではない」だけじゃないようだ。事実はもう少し厄介らしい。


「先輩……彼女、は――」


 と、俺がターゲットの観察をしながら手首に手錠を嵌めると、ヨロヨロと明音が寄ってくる。


「まぁ、ひとまずは勢度さんに引き渡す。その後は……どうなるか、俺にも分からない」

「そう、ですか……」


 分かりやすいくらい落胆している声で話す明音に、俺は自分の着ていたワイシャツを脱いで渡した。ついでにジャケットも一緒に渡す。

 そうして、ワイシャツの下に着ていたアンダーのみとなった俺は明音に話す。


「ひとまず、今日のところは解散しよう。ターゲットは俺が勢度さんとこに連れてくから、明音は帰って休んどきな。――心配しなくても、拘束期間は長くならないはずだよ」

「ありがとうございます、先輩……」


 ターゲットに情でも移ったのだろうか。明音は随分と落ち込んでいる。俺の渡したシャツに抵抗なく袖を通したのに、この場を去ろうとしない。

 

 全く、コレだからターゲットに感情を抱くのは辞めた方がいいと教えたのに。

 潜入任務として、ターゲットと近しい関係になるのは諸刃の剣なのだ。今の明音のように、自分の心を傷つける。あながち自傷行為と言っても過言じゃない。


 だが、そこは流石に俺が育てた優秀なエージェントだ。明音は自分の気持ちに踏ん切りをつけたのか、溜息を一つ吐くと俺に背を向けた。


「それじゃあ、私は先に帰宅してます。何か進展があったら知らせてください」

「おう、お疲れさま~」


 と、歩き出す明音に手を振って見送っていたところで、ふと思い出す。そういえば、明音が服を引き裂かれていたということに。

 もしかしたら、ターゲットに情を抱いていたのではなく、新しく服を買わないといけないことを気に病んでいたのかもしれない。


 そうであれば、ここは先輩として格好つけるポイントじゃないか。


「あ、ちょい、明音ちょい待ち!」

「はい……?」


 俺はそんな考えのもと歩き出した明音を呼び止めると、振り返った明音に一万円札を五枚ほど手渡した。


「これ、は――?」

「服切られてただろ? 新しく買わないといけないだろうから、それ使っていいよ」

「…………」


 しかし、明音の反応は乏しいものだった。俺が渡した五万円を眺め、無言を貫いている。


 ひょっとして五万じゃ足りないのか? レディース服ってそんなに高いの?


 なんていう疑問を口に出そうとしたとき、顔を上げた明音が口を開いた。


「これは……要りません。受け取れないです」

「ああ、そう? 別に遠慮しなくてもいいんだけどさ。明音は後輩なんだし」

「いえ、そういうのじゃなくて。――受け取らない代わりに、今度一緒に買い物付き合って欲しいんですけど、いいですか?」


 ふむ、これはあれか? 実際に買い物に付き合わせて、欲しいもの全部俺の金で買ってやろうという作戦か? 確かにその作戦なら、五万円という上限はなくなるが。

 意外と図太いじゃあないか、俺の後輩。


 とはいえ断る理由もないか。今回の件は、俺がもっと警戒していれば避けられた事態だしな。


「構わないよ。とはいえ、互いに休みの日が被ったときになるけど」

「はい、それで大丈夫です。楽しみにしてます」


 俺が買い物の約束を了承すると、明音は俺に五万円を返してきた。そして嬉しそうな笑顔を浮かべるとお辞儀して、今度こそこの場を後にする。

 その背中を意味もなく眺め、やがて見えなくなったところで。

 

 俺は今回の件で得た情報の整理を一人始める。


 明らかに発動回数の少ない、夢魔体質の持ち主。おおよそ考えられるトリガーの条件はほとんど試したのに、結局ショッピングモールで発動することはなかった。

 それがどういうわけか、帰路についた途端に発動した。

 しかも、その様相がこれまでの例と明らかに違う。

 

 催涙ガス弾による鎮静化が効かなかった興奮状態の男たち。そして、それを操るようにして俺を攻撃してきたターゲット。

 これがもし従来の夢魔体質だったとしたら、ターゲットが男たちに襲われていただろう。その場に明音が居たとしても、より強く興奮状態の人間が反応するのはターゲットの方だ。


 そもそも、明音が襲われること自体おかしい。夢魔体質による興奮状態の人間は、体質持ちの人間しか標的にしないはず。

 もし今回の件が、明音を含む四人にターゲットが暴行を受けていた、という状況だったら簡単に説明がつく。

 ターゲットが他の夢魔体質持ちより、その性質を溜め込む傾向にあって、それがこのタイミングで爆発した、と。耐性のある明音が暴行していたとしても、それはさして問題じゃない。


 だが、今回は明音だけが襲われていた。ターゲットは全くの無傷。

 暴行を受けたような形跡は見られない。

 

 そしてターゲットには、変身したとしか言いようがない人格の豹変という謎もある。

 ともすれば……。


「秘密裏に手駒を増やし続け、このタイミングで明音を狙った犯行――」


 口に出して言ってみて、自分でその考えを否定する。もしそうなのであれば、このタイミングである必要が無い。明音と二人きりの場面はいくらでもあった。

 それに、どういう意図で明音を狙うというんだ。表向きはただの一般人である明音を。


 そもそも手駒を増やす理由は何だ? 夢魔体質は、ただの性犯罪が加速する原因でしかないはず。誰かの意図が介入しているものじゃない。理屈の通らない部分が多すぎる。


「なら、この男たちは放置しても問題なさそうか」


 そう判断したものの、やはり一抹の不安は残る。ここでコイツらを見逃して、そのせいで重大な手がかりを落としたなんてことは避けたい。

 だが、ターゲット含め四人が一気に行方不明になれば、いよいよAVCという存在の誤魔化しがきかなくなってくる。


「……ミスった。こんなことなら、明音にしっかり話を聞いておくんだった」


 襲われていたのを見て、話したくないだろうと()()()()のが間違いだった。明音も組織の一員なのだから、それくらいの覚悟はしてるはずだろうに。


「いや待てよ。写真撮っとけば済む話だろ」


 写真を撮っておけば、後で捜索するときにだいぶ楽になる。ということをすっかり忘れていた。悲しいかな、俺にはスマホで写真を撮るという習慣がないのだ。


 というわけで男たちの写真を撮った俺は、ターゲットを担いで。

 AVCの組織の人間しか知らない地下通路を通って、本部へと戻った。



最後まで読んで頂きありがとうございます。


この作品は、作者が思った「NTR」や「レ○プ」系のエロ本への回答です。

そういう本に出てくる女の子たちは可愛いんだけど、救いがなさ過ぎる。というわけで、そんな女の子たちを颯爽と助けていく主人公の話なんか面白いんじゃないか? という意図で書き始めました。


そういった意図が上手く伝わっていれば幸いです。

こういう、エロを題材にした話を書くのは初めてで、拙いところがあるとは思いますがご容赦を。


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