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ライン様応援隊

 思わずライン様に詰め寄って言ったらもっと泣いちゃった。あわわわわ。


「私は貴方の味方です」


 全然泣き止まないから、もう言えることを言っておこう。ここで泣かないでくださいって言ったってもっと泣いちゃうからね。あれ、どういう原理なんだろう。


「味方、絶対か」

「はい、もちろん」

「そうか……味方」


 何やら噛みしめるライン様。とりあえず落ち着いてくれたようで何より。出会い初日に泣かせる妃とか伝説級にヤバいから。


「あっ立たせたままですまない。こちらに座ってくれ」

「失礼します」


 用意されていた椅子に座る。机には美味しそうなクッキーと多分紅茶。馬車の中で何も飲まなかったから喉カラカラ。


 こっちの世界にもクッキーあるんだ! やったぁ! クッキーじゃないかもしれないけど、何かの焼き菓子なのは確か。


「く、口に合わなかったら私の服に吐き出しても構わないから」

「そのようなことは致しません」


 どれだけ冷たくあしらわれて生きたらこんなに卑屈になるの。今まで一人だったのかな、辛すぎる。これからはお傍でサポートしなくちゃ。


「いただきます」


 まずは紅茶を一口。目の前に座っているライン様がそわっそわしている。


 あ、美味しい。日本で飲んでいたのと何かが違う気もするけどかなり似ている。


「美味しいです」

「そ、そうか! 焼き菓子もあるぞ」

「いただきます」


 お皿を差し出されたのでクッキーを食べると、はちゃめちゃに美味しかった。


 うわっ甘すぎず癖のある味でもなく、シンプルが一番って思わせてくれる味。素朴なのに上品みたいな。


 そのまま伝えたら、ライン様が死んだ目をやや輝かせて喜んでくれた。おお、やった、闇皇子様に笑ってもらえた。まだぎこちない笑いだけど、いつか自然に笑ってもらえたらいいなぁ。


 こんこん。


「なんだ」


 再び瞳が息絶えたライン様が返事をすると、セリさんと男性が一人入ってきた。


「失礼致します。公務のお時間で御座います」

「──分かった」


 一拍間をおいてライン様が立ち上がった。素っ気なく去っていく。


 これは分かる。私と仲良くしている姿を知られたくないんだ。なるほど。私に気を遣ってのことかしら。


 やっぱり良くない。


 まだ出会って一時間も経っていないけど、ライン様はとても優しい方だって分かる。そんなライン様が周囲から誤解されて冷たくされているのは良くない。


 よし、ライン様が好かれるよう、陰ながら応援しよう!

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