両想い
それを聞いた横にいるロウ様がすごいライン様を睨んでくる。怖い怖い、ご両親にバレますよ。
「実は、アリアと一緒にトレーニングをしていて、その成果が出てきたのだと思います」
「まあまあ、そうなの。アリアさん、息子を気遣ってくれてどうもありがとう」
「いえ、私は全然。ライン様自身が頑張っていらっしゃる結果です」
ロウ様がさらに睨みを強くさせた。だから怖いですって!
「ラインも結婚をずっと心待ちにしていたから、幸せだろう」
「えっ」
思わず声を上げてしまった。
ライン様を見る。顔を赤くさせて俯いていた。これ、イエスってこと?
許嫁ではあったけれど、結婚を楽しみにしてたってことは以前からアリアに好意を抱いていてくれていたってことだよね。
やばい。嬉しい。私たち、両想いだ。
嬉しすぎて、私の顔変になってないかな。
「アリアさん、息子をよろしく頼むよ」
「はい、こちらこそこれからよろしくお願いいたします」
声が震えそうになりながら、皇帝に返事をした。
その後、二三言話してお開きとなった。最後の方記憶に無い。私の脳内で小さいライン様が可愛らしく踊り狂っていたから。
やったぁ。パパ、ママ、お兄ちゃん。私、幸せになります。というより、もうなっています。遠いところから応援していてね。あ、お兄ちゃんは近くか。
二人が出ていってから私たちも歩き出す。ロウ様の視線を背中に浴びているのが振り向かなくても分かる。お兄様が認められて面白くないんだね。でも、ライン様は何も悪いことはしていないし、自分で成長しようと頑張っているだけだからこちらも遠慮することはない。
「では、ロウ様。失礼します」
「はい」
声をかけると、ロウ様はあっさり帰っていった。ライン様に何か言うかと思ったけど、皇帝たちが近くにいるかもしれないからそんな軽率なことはしないか。
あ、皇帝と言えば、もしかして今日から一緒に食事だったりする……? さすがにそれだと緊張で味が分からなくなりそう。どうか別でありますように。