対面の時
「間もなくご到着です」
セリさんに連れられて大広間に行く。先にいたライン様が私のドレスを見て崩れ落ちそうになるのをぐっと堪えていた。お、ドレス気に入ってくれたみたい、やった。
ロウ様もすぐに来た。にっこり微笑まれるので、頑張って微笑み返した。その裏には何が隠れているのかは、今は考えないでおこう。
三人で並んで待っていると、大広間の扉が大きく開かれた。
「皇帝、皇后のお帰りで御座います」
扉の方を向いて頭を下げる。
靴の音が響く。わああ、目の前を通っているぅ!
「面を上げよ」
ちらりと目線だけライン様を見遣ると顔を上げていたので、合わせて上げる。一度目は上げちゃ駄目とか決まりが無くてほっとした。
「ただいま、子どもたちよ」
「おかえりなさいませ」
見上げた先に、皇帝と皇后が堂々と座っている。この方々がサーナイト国の頂点……オーラが違う。
体格の良い、茶髪セミロングの皇帝と、黒髪の上品そうな皇后。皇后の涼し気な目元が私を貫いた。うぐぅッ。
「貴方がアリアね。不在にしていてごめんなさい。不自由な思いはしていないかしら」
「いえ、とんでも御座いません。とても良くしていただいております」
皇后、ハスキーな声で格好良い。しかも、来たばかりの妃に気を遣ってくださって優しい人だ。ロウ様に続きご両親もライン様に優しくなかったらどうしようかと思っていたけどセーフだった。
「ラインを支えてやってくれ」
「はい」
皇帝も笑顔が優しそう。しかも私を歓迎してくれているみたいでほっとした。不遇な扱いをされてもここを出ていくわけにはいかないから、悪役が増えなくてよかったよ。
「ライン、ロウ。変わったことはないか?」
「御座いません。王都も平和そのものです」
ライン様、どうしたの。とても皇子然としていらっしゃる……! もしかして、私が知らないだけで、普段はこんな風に話せるのかな?
「ライン、お前……」
すると、皇帝と皇后が顔を見合わせた。
「どうしたのだ、いつもはもっとこの世全てが悪のような顔をしているのに」
あれ、やっぱり普段はそうだったのか。
「何か悪いものでも食べたの? あら、少しスマートになったのでは?」
おお、さすが皇后気付いてくださった。