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王都

 そしてあっという間に一週間が過ぎ、嫁ぐ日となった。国民にはすでに知らされていて、後日発表の場が設けられるらしい。らしい、というのは、実はまだ皇子と会ったことがなくて、全部聞いただけだからなんだけど。


 顔見ないで嫁ぐのか~。まあ、見たところではいチェンジって出来るわけじゃないから別にいいんだけど。


 冷酷らしいから、きっと顔も怖いんだろうな。まあ、前世ではお隣さんが極道だったし怖い顔には慣れてるから平気でしょ。


 王族の馬車が到着した。パパとママがめちゃくちゃ厳しい顔をしている。娘の出世をもっと祝って!


「では、いってまいります」

「気を付けて。嫌だったら今日にでも帰ってきなさい」

「そうよ。魔法弾ぶつけていいからね」

「それは一族が没落してしまうので……」


 娘を一番に考えてくれる両親と別れの挨拶を終えた私は、ついに馬車に乗り込んだ。


 馬車には皇子が──なんてことはなかった。知ってた。馬車がうちに来た時降りてきたメイドさんだけ。これからこの人が私に付いてくれるのかな。うちからもメイドさん連れてきたかったんだけど、そんな我儘言えなかった。それでもしうちの家に迷惑がかかったら嫌。


「アリア様」

「はいっ」


 向かいに座っていたメイドさんが深く頭を下げる。咄嗟に私も頭下げちゃった。まずいまずい。


「本日よりアリア様付きとなりましたセリと申します。宜しくお願い致します」

「こちらこそお世話になります」

「……」

「…………」


 終わった。話、終わった。無口な人なんだな。私は一人の時でもずっと話してたいくらい話好きだから困った。このままだと自分の部屋でずっと独り言人生になりますね。


 でも、私に挨拶してくれたってことは、とりあえず悪い人ではなさそう。メイドさんにまでいじめられたら厳しいもん。


 車内が静か過ぎて、唯一のBGMが馬車の音という貴重な経験をしながら王都に入った。


 というか、王都ひっろ。門がまず大きいし検問みたいなのあったし、中に入ったら入ったで三百六十度都会だった。


 うちの街も結構大きいと思ったけど、王都別格だったわ。


 今日からここが私の住む街になるのか。慣れるかなぁ、まだ地元にも慣れてなかったのに。そもそも外に出させてもらえなかったりして。そうなったらさすがに文句言おう。

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