表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/38

トレーニングの成果

「ライン様はお話したことがありますか?」

「いや、ないな」

「そうですか」


 ほっと胸を撫で下ろす。よかった、彼女の声が直接届いていなくて。きっとライン様にさっきみたいなことを言うことはないだろうけど、嫌な態度を取るかもしれないから、なるべくなら会ってほしくない。って思うのも私の我儘かなぁ。


「ところで、今日はダイエットをしないのか?」

「やります。その前にこれを」


 私は引き出しからラッピングされた箱を取り出した。困惑顔でライン様が受け取る。


「これは?」


「私が作ったダイエット中でも食べられるお菓子です。カロリーが低いものを選んで作ったので物足りないかもしれませんが、もしよかったらあとで召し上がってください」


「食べる。ありがとう」


 食い気味に食べるって言ってくれた。嬉しい!


 料理本に焼き菓子の作り方が載っていたから、それを参考にして作ってみたんだよね。調理場の隅を貸してくださった方々お世話になりました。


 最近甘い物を控えているみたいだから、少しでも気分転換になったらいいな。


「よし、運動をしよう。昨日より増やしていい」

「素晴らしいです。でも、無理はなさらないでくださいね」

「分かっている。貴方が無理そうだと判断したらそこで中断してもいいから」


 相変わらず瞳はこの世の闇だけど、顔色も良くなってきたから効果が出ていると思う。あと半月もすれば見た目で分かるくらい変わるんじゃないかな。


 すでに何回か取り組んでいるので、私の見本が無くても出来るようになった。同じメニューずっとやったら、私が痩せちゃうところだった。


 ということで、一昨日からは私は監督としてライン様の運動をチェックしながら、自分の魔法の勉強をさせてもらっている。


 ライン様に聞いたところ、ライン様も生活魔法なら少し出来るらしい。ちなみに、魔力は人並なので普段は全く使わないそう。ということで、今のところの目標は二人でお空の散歩をすること。


 二人で黙々とそれぞれのメニューをこなす。魔法の方も少しずつ慣れてきて、今ではハンカチをふわふわ浮かせるようになった。そろそろ自分自身に試してみてもいいかもしれない。


「ふんッ」


 両手のひらをお腹に向けて、気合の声を上げる。顔にも力が入っているのが分かる。今の私、間抜けじゃないよね? ライン様の前でおブスになっていたらどうしよう。


 ちらりとライン様を見遣る。目が合った。ちょっと笑われた。


「笑わないでください」

「すまない。微笑ましいと思って」

「それならいいです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ