スキル入手 クズ 動きます。
剣と魔法の世界
そんな今となってはありがちな世界でギールは生まれた。
不運にも、彼はすくすくと成長した。
後の彼の被害者は、このことを一生嘆くだろう。
この世界では、15歳の誕生日を迎えると皆教会で祝福を受ける。それによって、ほとんどの子供たちは一人一つスキルを手に入れる。
スキルには<鍛冶>や<収納>などの生活や就職に役立つものと、
スキル<剣士>やスキル<魔導士>など、戦闘の際に役立つスキルとがあり、ちょうど半々くらいの割合で分かれている。
また、スキル<剣士>といっても、人それぞれ異なる性能をしており、剣を使った攻撃に元の攻撃の10%分、追加ダメージが入るものや、斬撃を飛ばせるようになるものなど、その性能は多種多様だ。
稀に、<剣豪>や<大魔道士>など、普通のスキルよりも強力な性能を誇るスキルが現れる。所謂レアスキルだ。
転生者や転移者などはこのレアスキルを確実に保持している。そのため、彼らはこの世界で一般的に認知されており、チート持ちなどと言われている。
さて、我らが主人公ギール君はと言うと、何故か自身が最も良いスキルを手に入れるのだと確信していた。
彼には根拠のない自信があった。
自分が他人に劣っている筈がないという自負があった
そして何より、腐り切った心があった。
そんな彼からすると、自身が最も優れているのは当然で、無論、誰よりも素晴らしいスキルを手に入れるのは必然であった。
しかし、そんな彼の驕りは無惨にも打ち砕かれることとなる。
彼の前に並んでいた者―どこか大人びていて、何故かいつも死ぬ気で鍛錬していた彼女が、祝福を受けると同時に、眩い光に覆われた。レアスキルだ
神父は喜びに満ちた顔で、高らかに宣言した。
「スキル<勇者>です!」
スキル<勇者>ーーーそれはこの世界における伝説のレアスキルである。
今までスキル<勇者>を持つ者は、その誰もが、歴史に名を残すほどの偉業を成し遂げてきた。
皆一度はスキル<勇者>を持つ自分を夢見る。
それほどまでに高名なスキルなのだ。
教会内に、どっと歓声が沸き起こった。
当然だ。伝説のスキルが現れたのだから。
当の彼ー勇者の少年は驚きの表情を見せながらも、誇らしげな顔で、堂々と胸を張っていた。その姿に、観衆はさらに熱狂した。
そんなお祭りムードの中、ギールは今まで感じたことのないほどの屈辱と怒りに襲われていた。
(俺が人より劣っている…?そんなこと、あっていい筈がないだろうが。)
彼は許せなかった。。たとえ相手が勇者だとしても、彼の異常なまでの自尊心は、自分が相手より下だということを認めなかった。
そんなギールの憤怒が呼び寄せてしまったのだろう。
ギールもまた、祝福を受けると同時に、眩い光に包まれた。
神父は高らかに宣言した。
「スキル<極悪人>です!」
彼は受け取ったそのスキルの効果を知り、感動に打ち震えた。これなら、俺が勇者になれると。
周りは2人目のレアスキル獲得者に大喜びしていたようだが、そんな音は彼の耳には入らなかった。
彼は自分より優れているものは許さない。
また、人より劣っている自分も許さない。
彼は人より上に立つことに関しては、かなり精力的だった。
その点においては彼はまさに勇者なのだろう。
ただし、忘れてはならないのは、彼は勇者である前に、ゴミ野郎だということだ。
―スキル<極悪人>―
自身に完全に屈服、心酔した者のスキルを奪い取り、自身のものにすることができる。
また、相手の屈服度、心酔度を%で表示することができる。
ちなみに、スキルを寄越せと尋ねるのに意味はない。
完全にギールの趣味である。




