魔法少女モノの序盤から中盤辺りに出てくる敵キャラの変身シーン
チキ
その音を聞いた瞬間、私は背後を振り返り、飛び退る。
チキチキ
そこには、大振りなカッターナイフのような刃物を手にした彼女がいた。
なにか異質なものを感じさせるその刃物には、明らかに魔力が渦巻いているのがわかる。
「それはっ!?まさか、貴方が!?」
その問いは具体性のない、不明瞭なものだったが、この場においてはたった一つしか意味を産まないものだった。
彼女は答えず、歯をむき出すようにして笑うと、振りかぶったナイフで己の腕を深く切り裂いた。
ダラダラと血が足元に滴っていく。
血液の付着したナイフを逆手に持ち、止めの一言を放つ。
「・・・変身」
その瞬間、ありえないほどに体積を増やした血液が、彼女の全身を球状に覆い尽くした。
《切ル!斬ル!メッタkill!》
赤い光を放ちながらバチャリと弾けると、赤いローブに全身が覆われ、フードで顔を隠した死神が、そこにいた。
「キルギリ、シア・・・です」
つぶやくような声量でそう言うと、私に向けて飛びかかってきた。