27 静香の身の上話
「前にも言いましたが、私は幼いころに母を亡くしているんです。
それ以来父と三人の兄と、男ばかりの環境の中で育てられました。
そのうち上二人の兄は私と歳が離れていて、
長男は大学を出て就職し、次男は大学に通っています。
そして高校生の私と、乙子さん達も昨日見た、双子の兄が居ます。
上の兄二人とは歳が離れていたので、
私は何をするにも双子の兄とばかり一緒に行動していました」
「昔から仲が良かったんですね」
「まあ、そうですね。
でもそれが原因であんな事になるなんて、その当時は思いもしませんでした」
「え?一体何があったんですか?」
「私の双子の兄の色雄は、昔から何故か女子にとても人気がありました。
私にはその理由がよく分からなかったんですが、
色雄を好きになった女子達が言うには、
『カッコよくて男らしい』という事でした。
常日頃から一緒に居た私は、その感覚が全く分かりませんでした。
するとその女子達は、やがて私と友達になろうとするようになりました。
双子の私と仲良しになれば、色雄との距離も縮まると思ったんでしょう。
その頃の私はまだ女性恐怖症ではなかったので、理由はどうあれ、
周りの女子達が友達になってくれるのはとても嬉しかった。
ところが兄の色雄には、ある問題があったんです」
「ある問題?」




