17 この二人は相変わらず
「あら、居たの撫子さん?可愛い妹さんの事となると、
いつもより五割増しくらいで怖い顔になるのね」
「私がこんな顔をするのは、あなたに対してだけでしてよ?」
「まあ、撫子さんは相変わらずご冗談がお上手だわ。オホホホホ」
「とんでもない。希里さんの底意地の悪さにはいつも感心いたしますわ。
ウフフフフ」
笑顔のままで、敵意むき出しのオーラをぶつけ合う希里と撫子。
特別授業での一件が解決してからも、二人の関係は相変わらずのご様子。
そんな二人を前に紳士クンは、ひきつった笑みを浮かべる事しかできなかった。
すると希里は紳士クンの方に向き直り、
「それじゃあ私は、恐いお姉様が居るから退散するわ。
乙子、またいつでも私のマンションに遊びに来てね。両親も会いたがってるから」
と言い、教室から出て行った。
「またぜひ、行かせていただきます」
そう言って紳士クンが希里の後ろ姿にお辞儀をすると、
撫子は腕組みをしながら言った。
「希里の奴、この前の事で少しはマシな性格になると思ったのに、
何か前より性格悪くなってない?」
「い、いやあ、そんな事はないと思うよ?
むしろ前より、ずっと柔らかい感じになったと思うけど」
「どうだか。で、乙子は私に何の用なの?」
撫子の問いかけに、紳士クンは一転して真剣な顔になって言った。




