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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅱ  作者: 椎家 友妻
第四話 紳士クンと彼女のお悩み
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14 お兄ちゃん

 という声とともに、一人の人物が校舎の方からやって来た。

ちなみにその人物は黒のブレザーを着たエシオニア学園の男子生徒で、

目元は涼しげで顔立ちは整い、爽やかな雰囲気を醸し出していた。

そしてその男子生徒を見た静香は、目を丸くして声を上げた。

 「あ、お兄ちゃん」

 「へ?」

「お兄ちゃん?」

 静香の言葉に、同じように目を丸くする撫子と紳士クン。

そんな中その男子生徒は静香の元までやって来て言った。

 「校門で待ってたのになかなか()ねぇから探しに来てみれば、

お前、この学園に来てからもいじめられてる(、、、、、、、、、、、、、、、、、)のか⁉」

 (え?それってどういう・・・・・・)

 男子生徒の言葉に紳士クンは引っかかった。

すると別の意味で引っかかった様子の撫子が、男子生徒をビシッと指差して言った。

 「ちょっとあんた!人聞きの悪い事を言わないでくれる⁉

私達は別に彼女をいじめていた訳じゃないわ!ていうかあんたはどちら様⁉」

 すると男子生徒はファサッと長い前髪をかき上げて言った。

 「俺はエシオニア学園男子部二年の迚摸(とても)(いろ)()

ここに居る静香の双子の兄だ!妹をいじめる奴はこの俺が許さないぞ!」

 (そういえば静香さんは、お兄さんが三人居るって言ってたなぁ)

 紳士クンがそう思っていると、撫子が再び静香の兄、色雄に食ってかかった。

 「だからいじめてる訳じゃないって言ってるでしょ!

私達はむしろ彼女に協力してあげてたのよ!」

 「何?協力?」

 そう言って眉をひそめる色雄。

そこに静香がおずおずと口を挟んだ。

 「お兄ちゃん、その人が言っている事は本当よ。

こちらは私のクラスメイトの(けだ)(かき)撫子(なでしこ)さんと、おと───妹の乙子さん。

この人達は、私の女性恐怖症を治す為に協力してくれていたの」

 「そ、そうだったのか。それは失礼な事を言って悪かった。この通り」

 静香の言葉を聞いた色雄は、そう言って撫子達に頭を下げた。

すると撫子は腕組みをしながらプイッとそっぽを向いて言った。

 「フン、分かればいいのよ」

 「あの、ところで、さっき色雄さんが言っていた

『この学園に来てからも』っていうのはどういう事ですか?

もしかして、中学の時にも静香さんは・・・・・・」

 紳士クンがおずおずとした口調で尋ねると、色雄は軽い口調で

 「ああ、実はね──────」

 と言おうとしたが、傍らの静香がそれを遮るように口を挟んだ。

 「やめて!その話はしないで!」



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