9 力では勝てない
すると静香も紳士クンの両肩をガシッと掴み、
鎖骨のくぼみに親指をめりこませながら言った。
「それは分かってるんです!
でも私、本当に女の人と接するのが苦手なんですっ!」
「あだだだだっ!静香さん!指っ!めりこんでる!」
紳士クンはそう叫んだが、静香はより一層親指をめりこませた。
「あだだだだっ!わ、分かりましたから!
静香さんは女性と接するのが苦手だって事はよーく分かりましたから!
だからその指を離してください!」
すると静香は紳士クンの肩から手を離し、ホッした表情で言った。
「ようやく私の想いが通じたんですね」
「というか、ほとんど脅迫みたいなもんでしたけどね・・・・・・」
紳士クンは肩をさすりながらそう言い、気を取り直してこう続けた。
「じゃあとりあえず、静香さんのその女性恐怖症を何とかしましょう。
そうしないと針須さんに謝るどころじゃないですもんね」
「そ、そうですね。でも、そんな事が可能なんでしょうか・・・・・・」
「頭で考えても仕方ありませんよ。とにかく実践あるのみです!」
「何か良い方法があるんですか?」
「はい、ボクに任せてください!」
不安げな表情で尋ねる静香に、紳士クンはニコッと笑って答えた。




