8 お詫びの出家
紳士クンはその足で、旧校舎へと向かった。
そこに静香を待たせていたのだ。
そして紳士クンが静香の所へ行き、さっきの出来事をそのまま伝えると、
静香は青ざめた顔で叫び声を上げた。
「えええっ⁉針須さん、ノイローゼで寝込んでしまっているんですか⁉」
「はい、どうやらそうみたいです」
紳士クンがひきつった顔でそう答えると、静香はガクッとその場に跪いて呟いた。
「そ、そんな、私のせいでそんな事になっていたなんて・・・・・・」
「しかも針須さんのお友達は、
静香お姉様が針須さんにイジワルをしたと誤解していて、凄く怒っていました」
「ええっ⁉私、そんなつもりじゃかったのに・・・・・・」
「恐らく針須さん自身はそうは思っていないかもしれませんが、
周りのお友達は完全にそう思い込んでいて、その誤解は益々膨らみそうな雰囲気です」
「私、一体どうすれば・・・・・・」
「こうなったら一刻も早く、針須さんに謝るしかないですね」
「分かりました。私、頭を丸めてお寺に出家します」
「えっ⁉何が分かったんですか⁉今のボクの話聞いてました⁉」
「はい、つまり私に、出家しろという事ですよね?」
「違いますよ!早い所謝りに行こうって言ってるんですよ!」
「尼さんにでもならないと、私はこの罪を償いきれません!」
「そんな事ないでしょ⁉要は現実逃避をしたいだけでしょ⁉」
「だって私、女の人と接するのが苦手だから・・・・・・」
「そんな事言ってる場合じゃないでしょ!
このままじゃあ事態はどんどん悪くなっていきますよ⁉」
紳士クンはそう叫び、静香の両肩をガシッと掴んだ。




