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3 給仕カード
「皆さんには明日からの四日間、メイドとして特定の上級生にお仕えしてもらいます」
その日の朝礼で、担任である愛雛彩先生は、クラスの生徒達に向かってそう言った。
「という事は、私達はメイド服を着ないといけないんですか?」
「何だか恥ずかしいわ」
「でも、面白そう!」
各々楽しそうな声を上げる生徒達。
しかしそんな中、唯一紳士クンだけはうつむいて落ち込んでいた。
(どうしよう、やっぱりボクはメイドさんをやらないと駄目なんだ。
この制服を着るだけでも凄く恥ずかしいのに、
あんなフリフリの付いた女の子っぽい衣装を着なきゃいけないなんて、
ボクは、ボクは・・・・・)
そんな紳士クンの悩み等つゆも知らない愛雛先生は、
「ハイハイ、皆静かに」
と言ってパンパンと両手を叩き、こう続けた。
「それでは今から皆さんに、『給仕カード』を配ります。
これに自分の名前を書き込んで、
自分がお仕えしたいと思う上級生に直接渡してください。
もしその上級生のメイド役の子が既に決まっていたり、
特にお仕えしたい特定の上級生が居なければ、こちらでランダムに選ぶからね」