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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅱ  作者: 椎家 友妻
第三話 紳士クンとショッピング
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12 人生最大の試練

 著者が女性下着について横道に逸れる中、

紳士クンは目をつむって自分にこう言い聞かせていた。

 (大丈夫。笑美さんが試着を終えてそれを気に入れば、

あとはそのお会計を済ませるだけ。そしたらここから出られる。

時間にすればあと十分くらいのはず。だから大丈夫。大丈夫)

 そう念じながら紳士クンは、眉間にシワを寄せながら唇を噛みしめた。

まるで滝に打たれる修行僧のような紳士クンの気迫に、

周りの店員さん達は誰も声をかける事ができなかった。

これで後は笑美が試着室から出て来るのを待つのみ。

と、思われたその時だった。

 「乙子ちゃ~ん」

 と、その笑美が試着室のカーテンの端から顔だけを出し、紳士クンに声をかけた。

 「へ?あ、何?笑美さん」

 ハッと我に返った紳士クンは、マヌケな声で笑美に尋ねる。

すると笑美は軽い口調でこう言った。

 「つけてみたから、ちょっと見てくれへん?」

 「へ?」

 その言葉の意味が分からなかった紳士クンは、更にマヌケな声で尋ねた。

 「え?見るって、何を?」

 「だから、ウチの下着姿。乙子ちゃんの意見も聞いてみたいから」

 「へ?ボ、ボク?見て、いいの?」

 「当たり前やんか。その為に一緒に来てもらったんやから」

 笑美は事もなげにそう言うと、顔をカーテンの中に引っ込めた。

一方の紳士クンは、何かもう頭の中が大変な事になっていた。

 (どえええっ⁉ボ、ボクが笑美さんの下着姿を⁉

どえええっ⁉み、み、見る⁉どえええっ⁉どえええっ⁉)



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