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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅱ  作者: 椎家 友妻
第三話 紳士クンとショッピング
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6 女の子同士ならではのスキンシップ

 紳士クンと笑美のお出かけは、

紳士クンが思っていたよりずっと気楽で楽しいものだった。

 午前中は駅前のショッピングモールで色々な店を見て回り、

その地下のレストラン街でランチを食べ、昼からは大通りの方に出る事にした。

 笑美は終始ご機嫌で、紳士クンと共にする時間を目一杯楽しんでいる様子だ。

ただひとつ難点を上げるとするなら、

今日の笑美はかなり積極的に紳士クンの腕に自分の腕を絡ませたり、

ガバッと抱きついてきたりする。

これは笑美が紳士クンの事を女の子だと思っている事と、

友達と遊びに来てすっかりテンションが上がっている事が理由なのだが、

それを重々承知している紳士クンでも、

笑美のこの積極的なスキンシップはかなり刺激的なものだった。

 等と言っている間にも笑美は、

 「あ!見て見て乙子ちゃん!このぬいぐるみ可愛いなぁ♪」

 と言いながら、紳士クンにベッタリくっついてきたりする。表面上は平静を保って、

 「ホントだ、可愛いねぇ」

 等と受け答えしている紳士クンだが、本当は冗談抜きで心臓が爆発しそうだった。

 するとそんな紳士クン達の横を一組の若い男女のカップルが、

仲よさげに腕を組みながら通り過ぎて行った。

そしてそれを見た紳士クンは、ふと素に戻ってこう思った。

 (もし笑美さんがボクが男だって事を知ったら、

こんなにベタベタくっついてこないだろうし、

こんなに仲良くもしてくれないんだろうな・・・・・・)

 そう思うと、何だか笑美に申し訳ない気持ちになってきた紳士クン。

しかし笑美はそんな紳士クンの気持ちなどつゆ知らず、

無邪気な笑みを浮かべて言った。

 「ところで乙子ちゃん、ウチちょっと行きたいお店があるんやけど、

付き合ってもらっていい?」

 「え?う、うん。もちろんだよ」

 ハッと我に返った紳士クンは、ぎこちない笑みを浮かべてそう答えた。

すると笑美は、

 「それじゃあれっつらごー!」

 と元気な声を上げ、紳士クンの手をキュッと握って軽い足取りで歩きだした。



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