5 おしとやかな笑美と、美脚の紳士クン
今日の笑美は、いつも左右に分けてリボンでくくっている髪を自然に下ろし、
膝よりも少しスカート丈が長いワンピースを着て、
いつもとは違う雰囲気を醸し出していた。
学園では元気印のお転婆娘という印象だが、
今日はちょっといい家柄のお嬢様という風情だ。
そんな笑美の姿を眺めながら、紳士クンはシミジミと言った。
「笑美さん、今日は何だかいつもと雰囲気が違うね」
「エヘヘー。このワンピース、今日初めて着るねん。どう?似合う?」
そう言ってクルッと一回転する笑美。
「うん、すごく似合ってるよ。
何かいつもと違って大人っぽくておしとやかな感じがする」
紳士クンがそう言うと、笑美はイタズラっぽい笑みを浮かべてこう返す。
「じゃあいつものウチは、子供っぽくてガサツな女って事?」
「えっ?いや、違うよ⁉
いつもの笑美さんは明るくて元気で可愛らしくて・・・・・・」
両手を横に振って一生懸命弁解する紳士クン。
すると笑美はニコッと笑ってこう続けた。
「そこまでほめてもらうと却って照れるなぁ。
ところで乙子ちゃんも可愛い服を着てるやん。しかもメッチャ足綺麗やし!
乙子ちゃんみたいに足が綺麗やと、
そういうショートパンツとかミニスカートがよく似合うんよねぇ。
うらやましいなぁ」
そう言ってうらやましそうに紳士クンの脚線を眺める笑美。
ちなみにこの年になっても足に無駄毛の一本も生えてこない紳士クンは、
複雑な笑みを浮かべるのが精一杯だった。
(それにしても、女の子は髪型や服装を変えるだけで、
雰囲気もガラッと変わっちゃうんだなぁ)
今日の笑美を見てつくづくそう思った紳士クン。
そしてそんな笑美を見ていると、何だか妙に胸がドキドキするのであった。
すると笑美は紳士クンの両手をギュッと握り、ニコッと笑ってこう言った。
「それじゃあ行こっか、乙子ちゃん♪」
「う、うん。そうだね」
やや緊張した面持ちで答える紳士クン。
(そ、そうだ。昨日お姉ちゃんも言ってたけど、これはある意味デートなんだ。
ボクがしっかりエスコートしなくちゃ)
かくして紳士クンの人生初のデート(?)が始まろうとしていた。
果たして紳士クンは、男らしく笑美をエスコートする事ができるのか?
まあ服装からして、男らしく振る舞う事は難しいのだが・・・・・・。




