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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅱ  作者: 椎家 友妻
第一話 紳士クンの御奉仕 前編
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1 二人で登校

 その日は朝からどんよりと空が曇っていた。

雨こそ降っていないが、もういつ降り出してもおかしくないような雰囲気だ。

 そんな中国立エシオニア学園の校門を、

見た目がそっくりな二人組の女子生徒がくぐって行った。

しかしそのうちの一人は実は男の子である。

当物語の主人公、(けだ)(かき)紳士(しんし)クンだ。

隣を歩くのはひとつ年上の姉で紳士クンと顔がそっくり

(性格はまるで違うが)の撫子(なでしこ)

家からここまで来るのにおよそ一時間かかるという事もあり、

二人はいつも一緒に登校していた。

 周りの生徒達は、そんな二人を特に気にするでもなく校舎へと歩いて行く。

そのうちの一人が女装をした男の子だとは、誰も気づきそうになかった。

それは紳士クンにとっては幸いな事ではあったが、

決して好んで女装している訳ではない紳士クンとしては、何とも複雑な心境だった。

 そんな紳士クンに、隣を歩く撫子が声をかける。

 「乙子(おとこ)もすっかりこの学校になじんだわよねぇ、色んな意味で」

 ちなみに紳士クンはこの学園に居る間は女の子という事になっているので、

名前も乙子ちゃんに変わるのだ。

そんな乙子ちゃんである紳士クンは、

今日の空模様と同じように曇った表情でこう返す。

 「そんな事言われても、全然嬉しくないよ・・・・・・」

 「何言ってんのよ、友達だって結構できたんでしょ?

もう後戻りなんかできないんだから、楽しんじゃえばいいじゃない」

 笑いながらそう言って、紳士クンの背中をバシバシ叩く撫子。

過ぎた事にクヨクヨせず、何でも前向きに物事を考えるあたり、

紳士クンよりよっぽど男らしかった。

一方の紳士クンはシュンとしょげかえり、

男らしい男からはおよそかけ離れた状態。

真のジェントルメンを目指す紳士クンには、

まだまだ越えなければならない壁が山ほどあるのだった。



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