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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅱ  作者: 椎家 友妻
第二話 紳士クンの御奉仕 後編
44/124

24 紳士クン、突進する

するとそんな中、希里が激しい口調で中年男に言った。

 「一体どういう事よ⁉またここに住み着くって!」

 それに対して中年男も激しい口調で言い返す。

 「どうもこうもないだろ⁉

そもそもここは俺の金で買ったマンションなんだぞ⁉

お前の生活費だって俺が払ってる!その俺が住んで何が悪いんだよ⁉」

 「ヨソの女のマンションに住みついていた男が何言ってんのよ⁉

大体その女とはどうなったの⁉」

 「うるせぇなぁ、お前には関係ないだろ?」

 「あるわよ!そもそもお母さんが出て行ったのだってそれが原因じゃないの!」

 「うるせぇよ!お前は一体誰のおかげで飯を食えてると思ってんだ⁉

俺だろうが!それなのに帰るたびにゴチャゴチャ文句言いやがって!

あいつだってそうだ!俺がちょっと浮気したくらいで家出するかよ!

マッタクどいつもこいつも!女って奴は何で俺をこんなにコケにしやがるんだ!」

 「もう、浮気相手とは別れたの?」

 「ああ別れたよ!あの女ときたら、俺の他に三人もの男と付き合ってやがったんだ!

だからブン殴って別れてきてやった!」

 「フン、そんなの自業自得じゃないの」

 「何だとぉっお⁉お前もブン殴られたいのか⁉」

 男はそう叫ぶと、乱暴に希里の胸ぐらを掴んで右の拳を振り上げた!

しかし希里は怯む事なく男を睨みつけて言った。

 「殴りたければ殴りなさいよ!

あんたみたいな人に殴られたって、痛くもかゆくもないから!」

 「このぉっ!」

 希里の言葉に更に逆上した男は、

そのまま希里の顔めがけて拳を振り下ろそうとした!

すると、その時だった!

 「や、やめろぉっ!」

 そう叫びながら紳士クンが、キッチンのドアを開け放って男に突進した!

 「な、何だぁっ⁉」

 その予期せぬ出来事に、男の拳がピタッと止まる。

すると紳士クンは希里の胸ぐらを掴んだ手を払いのけ、

その間に割って入って男を睨みつけた。



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