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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅱ  作者: 椎家 友妻
第二話 紳士クンの御奉仕 後編
41/124

21 イッショニオフロニハイロウヨ

 「ごちそうさま」

 その日の夜、紳士クンが作った昨日のカレーの残りを平らげた希里は、

両手を合わせてそう言った。

 「はい、お粗末様でした。でもよかったんですか?今日の夕食もカレーで」

 紳士クンは申し訳なさそうに言ったが、希里は上機嫌な様子でこう返す。

 「いいのよ。カレーは一日経ってからの方がおいしいし、

私は一週間連続でカレーでも平気よ?」

 「ハハハ、よっぽど好きなんですね」

 「ま、以前はお母さんがしょっちゅう作ってくれたからね。

そういう体になっちゃってるのよ」

 「ああ・・・・・・」

 紳士クンはそう言って頷き、暫く黙りこんだ後、覚悟を決めたようにこう言った。

 「あの、希里お姉様のご両親は、もうここへは戻って来ないんですか?

また以前のように、皆で仲良く一緒に暮らす事はできないんでしょうか?」

 それに対して希里は、苦笑しながら腕組みをして言った。

 「う~ん、それは難しいんじゃないかな。

二人とも離婚こそしてないけど、

ヨリを戻そうっていう気はサラサラないみたいだから」

 「そんな、元は一緒に暮らしていた家族なのに・・・・・・」

 「でも、お父さんとお母さんは元は他人同士だからね。

そんな他人同士が家族になって一緒に暮らすなんて、そうそうできる事じゃないのよ」

 「そう、なんでしょうか・・・・・・」

 紳士クンは悲しそうにそう呟いてうつむいた。

すると希里はひとつため息をつき、ポンと両手を合わせてこう言った。

 「そうだ。ねぇ乙子、一緒にお風呂に入ろうよ」

 「え?」

 希里の言葉に目を点にする紳士クン。

頭の中が真っ白になり、一瞬その言葉の意味が理解できなかった。

が、その言葉の意味を三秒かけてようやく理解した瞬間、

目を大きく見開いて驚きの声を上げた。

 「ええええっ⁉な、な、何を言い出すんですか希里お姉様⁉」

 「何って、一緒にお風呂に入ろうって言っただけじゃないの」

 「そ、そんなのマズイですよ!」

 「何がマズイのよ?同じ女同士なのに」

 「そ、それは・・・・・・」

 まさかここで

『実はボク、男なんです!』

とぶっちゃける事もできず、言葉を詰まらせる紳士クン。

そして必死に言い訳を考え、咄嗟にこう言った。

 「だ、だってボクは希里お姉様のメイドですから!

ご主人様とメイドが一緒にお風呂に入るなんて、いけない事だと思います!」

 するとそれを聞いた希里はプッと吹き出して言った。

 「アハハハッ!あんたって変な所で真面目よねぇ。

そんな事気にしなくてもいいのよ。

いや、むしろこの場合はそれを利用した方がいいのか。

乙子、ご主人様の命令よ。私と一緒にお風呂に入りなさい」



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