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4 ちゃんとついている

 と、いうところで、紳士クンは目を覚ました。

そう、今までのアレは全部夢だったのだ。

良かったね、紳士クン。

 「ゆ、夢・・・・・・」

 ここはさっきの夜の公園ではなく、紳士クンの家の紳士クンの部屋だった。

窓の外で雀たちがチュンチュンとさえずり、(おだ)やかな朝の訪れを告げている。

 そんな中紳士クンは、咄嗟に自分の胸と股間に手をやった。

するとさっきのように胸にムニュッとした感触はなく、

股間には男のシンボルがしっかりとついていた。

「よ、よかった・・・・・・」

 紳士クンはシミジミそう言ってガックリとうなだれた。

するとその時部屋のドアがガチャッと開けられ、

紳士クンの姉である撫子(なでしこ)が現れて言った。

 「ちょっと紳士、いつまで寝てんのよ?早く制服に着替えて準備しなさいよ」

 「うっ・・・・・・」

 姉の言葉を聞いた紳士クンは、にわかに表情を曇らせた。

学校に行く事がおっくうなのではない。

紳士クンが学校に着て行く制服(、、)がおっくうなのだ。

 紳士クンはこの春から、撫子と同じ国立エシオニア学園という高校に通いだした。

その学校は一応共学ではあるが、中で男子部と女子部に完全に分けられており、

紳士クンはその女子部(、、、)の方に通っている。

なので当然学校に着て行く制服も、女子用のそれである。

 ここで念のため断わっておくが、紳士クンはれっきとした男である。

その紳士クンがどうして女子部の方に通っているかというのは、

第一巻を参照していただくとして、

とにかく紳士クンは男の身でありながら女子部に通っているのである。

しかも紳士クンは小柄で手足が細く、顔つきも女の子のようなそれなので、

女子校に通っていても誰にもバレないのだ。

しかし当の紳士クンはそんな自分に大きな劣等感を抱いており、

心の中ではもっと男らしくなりたいと切に願っていた。

 この物語は、そんな紳士クンの不本意な日々を描いた青春ドラマである。

果たして紳士クンが真のジェントルメンになれる日は来るのだろうか?

 紳士クンの不本意な一日が、今日も始まろうとしていた。


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