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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅱ  作者: 椎家 友妻
第二話 紳士クンの御奉仕 後編
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19 希里VS令

 紳士クンと希里は、昨日と同じ裏庭のベンチにやって来た。

そして紳士クンから受け取ったお弁当のふたを開けた希里は、

その中身を見て嬉々とした声を上げた。

 「お~っ、なかなかうまくできてるじゃないの~」

 紳士クンが作ったお弁当には、

綺麗に巻かれた卵焼きとタコさんウインナー。

そして俵型ににぎられたおにぎりが入っていた。

 「味とかは、あんまり自信がないんですけど・・・・・・」

 紳士クンは頬をポリポリかきながらそう言ったが、希里は

「大丈夫でしょ」

と言って両手を合わせた。

と、その時だった。

 希里の前に長身の女子生徒がヌッと現れた。

そして希里と紳士クンが顔を上げるとそこに、怒りに顔を歪めた令が立っている。

その令に対し、希里は薄い笑みを浮かべて言った。

 「これはこれはどなたかと思えば、生徒会長の令お姉様じゃありませんか。

一般生徒のこの私に、一体何の御用ですか?」

 すると令は紳士クンをチラッと見やってこう言った。

 「どうしてあなたが、この子をメイドに連れているのかしら?」

 「それはもちろん、私がこの子の給仕カードを持っているからです。

ただそれだけの事ですよ」

 軽い口調で答える希里に、令は険しい口調で続けた。

 「でもその子は本当なら、私のメイドになるはずだったの。

だから今からでも、その子を私に譲ってもらえないかしら?」

 「残念ながらそうはいきません。

何故なら私とこの子の間には、

主人と使用人の仲を超えた、深い絆が生まれたからです」

 「なっ⁉主人と使用人を超えた深い絆⁉それは一体どんな絆なの⁉」

 「その辺りは、令お姉様の御想像にお任せします」

 「どういう事なの乙子ちゃん⁉

私というものがありながら、違う子と深い仲になるなんて!」

 希里の言葉に激高した令は、そう言って紳士クンに詰め寄った。

それに対して紳士クンは取り乱しながらこう答える。

 「べ、別に令お姉様が思うような関係になった訳じゃないですよ?

ボクは希里お姉様にメイドとしてお仕えしているだけで・・・・・・」

 するとそんな紳士クンに、希里が抱きつきながら言った。

 「でももう二晩も同じ屋根の下で過ごしたんだから、

少なくとも令お姉様よりは親密な仲になりましたよ?ね~っ、乙子♪」

 「え、え~っと・・・・・・」

 どう答えていいのか分からず、紳士クンは言葉を詰まらせながら目を泳がせる。

するとそれを見た令はよよよっと後ずさりながら、

 「そ、そんな・・・・・・」

 と呟き、踵を返して

 「乙子ちゃんの、バカーッ!」

 と叫びながら走り去って行った。



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