10 ランチは希里お嬢様と
「乙子ーっ、居るーっ?」
教室の入口から紳士クンを呼ぶ声がした。
そして紳士クンがその声の方に振り向くと、そこに希里の姿があった。
「あ、希里お姉様」
紳士クンはそう言って席を立ち、早足で希里の元へ歩み寄った。
「希里お姉様、一体どうしたんですか?」
紳士クンがそう言うと、希里は至って軽い口調でこう言った。
「購買にパンを買いに行くわよ。あんた今朝お弁当作ってくれなかったし」
「だ、だって希里お姉様の家の冷蔵庫、ほとんど空っぽだったから・・・・・・」
「つべこべ言わない。さ、行くわよ」
希里はそう言うと、紳士クンの腕をガシッと掴んで引っ張って行こうとした。
なので紳士クンは笑美と華子の方に振り返り、
「ごめんね二人とも。ボク、お姉様と一緒にお昼ご飯食べるから」
と言って、希里に腕を引っ張られて行った。
そんな紳士クンの様子を見て、笑美がボソッと言った。
「何か、ちょっとイジワルそうなお姉様やったなぁ」
笑美のその言葉に、華子も頷いてこう返す。
「確かにそうですね。
乙子さんは大人しい方ですから、いじめられたりしなければいいんですけど」
「そんなん許されへん!」
「絶対許せませんね!」
「ウチだってメイド姿の乙子ちゃんに、
あんなイタズラやこんなイタズラをしたいのに!」
「コラコラ」




