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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅱ  作者: 椎家 友妻
第二話 紳士クンの御奉仕 後編
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7 いきなり脱ぎ出す

高級マンションの外観にたがわず、部屋の中もかなり高級な造りになっていた。

が、部屋の造りは高級でも、その中身は惨憺(さんたん)たるものだった。

 「うわぁ・・・・・・」

 廊下を抜けた所にあるリビングを見て、

紳士クンは思わずげんなりした声を上げた。

 テーブルの上はカップラーメンやコンビニ弁当の空容器で占拠され、

ソファーには脱ぎっぱなしのパジャマや部屋着が散乱し、

床はありとあらゆるゴミや雑誌やその他もろもろで埋め尽くされている。

足の踏み場はおろか、手の置き場すらないようなありさまであった。

 「これは、ひどいですね・・・・・・」

 「そう?まあ、ちょっと散らかってるかなとは思うけど」

 顔をひきつらせる紳士クンに希里は事もなげにそう答え、

床のゴミを足でどかしながらソファーの元へ歩み寄った。

そしてあろう事か希里は、その場で自分の制服をガバッと脱ぎ出した。

 「わーっ⁉な、何やってるんですか希里お姉様⁉」

 悲鳴にも似た叫び声を上げ、紳士クンは咄嗟に希里に背を向けた。

それに対して下着姿になった希里は、さも当然のような口調でこう返す。

 「何を慌てているのよ?女同士なんだから別に問題はないでしょう?」

 確かに女同士なら全く問題はないが、実のところ男である紳士クンは、

上ずった声でこう続けた。

 「だ、だからって女性が人前でむやみに肌を見せるのはよくないですよ!

早く服を着てください!」

 「プッ、あんた何時代の人なのよ?」

 希里はプッと吹き出してそう言い、

ソファーに置いていたノースリーブのシャツとハーフパンツを身にまとった。

 「はい、ちゃんと服を着たわよ。これでいいでしょ?」

 希里の言葉に紳士クンは恐る恐る振り返り、

ちゃんと服を着たのを確認してホッとした。

そんな紳士クンを見て希里は言った。

 「何なのよそのリアクションは?ドーテーの男の子じゃあるまいし」

 「ええっ⁉ボ、ボクは男じゃないですよ⁉」

 「分かってるわよ。冗談に決まってるじゃないの」

 露骨に取り乱す紳士クンに希里は呆れた顔でそう言い、

 「じゃあとりあえず、この部屋の掃除をよろしくね」

 と言い残し、奥の部屋へ引っ込んだ。

そしてゴミ屋敷同然のリビングに取り残された紳士クンは、

 「え、えぇ~?」

 と呟き、その場に立ち尽くした。

 早くも訪れたメイドとしての試練。

果たして紳士クンはこの試練を乗り切り、

無事に四日間の特別授業を終える事が出来るのか?

 彼の長い長い四日間が幕を開けた。



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