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5 希里は撫子が好き?
そして撫子との距離が充分に離れた所で、希里に尋ねた。
「あのぉ、どうして希里お姉様は、あんなにお姉ちゃんと仲が悪いんですか?
以前何かあったんですか?」
それに対して希里は素っ気なく答える。
「別に何かあった訳じゃないわ。
私がいつもあんな調子だから、彼女は怒るんじゃないの?」
「お姉ちゃんの事、嫌いなんですか?」
紳士クンは思い切って尋ねてみたが、それに対する希里の答えはこうだった。
「嫌いじゃないわよ。むしろ彼女の事は好きなくらいよ」
「ええ?じゃあどうして会うたび喧嘩してるんですか?」
「彼女が私につっかかってくるからよ。
私は誰とも仲良くするつもりなんかないのに」
「え?仲良くするつもりはないって、一体どうして?」
「そんな事どうだっていいでしょう?
メイドが主人の素性を詮索するんじゃないの」
希里はそう言って紳士クンにでこピンをお見舞いすると、
それ以上は何も言わなかった。
なので紳士クンも、それ以上は何も聞く事が出来なかった。




