4 一触即発
二年藤組の教室にたどり着くと、すぐさま撫子がやって来て紳士クンに言った。
「あんた大丈夫?希里の奴にひどい事されてない?」
「大丈夫だよお姉ちゃん。今日はまだこれといったメイドの仕事もしてないし」
「でも今日から希里の家に三日も泊まらなきゃいけないでしょ?
何かイジワルされたらすぐに言うのよ?」
撫子がそう言いながら紳士クンの肩を揺さぶっていると、
背後から希里が現れて言った。
「あらあら、随分ひどい言われようねぇ。
撫子さんはそんなに私の事がお嫌いなのかしら?」
それに対して撫子は、怒りに満ちた笑みを浮かべてこう返す。
「そうねぇ、ハッキリ言って好きじゃないわね。
あんたのそのひねくれた根性とかがね」
「ま、まあまあ、お姉ちゃん落ち着いて」
このままではまた喧嘩が始まってしまいそうなので、
紳士クンは早めに二人の間に割って入った。
「それじゃあ希里お姉様、一緒に帰りましょう」
「そうね、これ以上あなたのお姉さんと話をしても、
喧嘩になってしまうだけだものね」
「それはあんたのせいじゃないの!」
希里の言葉に食ってかかる撫子。
それを紳士クンが必死になだめる。
「お、落ち着いてお姉ちゃん。
ボクは大丈夫だから。何かあったら連絡するから、ね?」
すると撫子は
「分かったわよ」
と言って渋々頷き、プイッとそっぽを向いた。
「じゃ、行きましょうか乙子」
「あ、はい」
希里に促され、紳士クンは希里と並んで歩き出す。




